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前立腺がんのこと知っていますか?
監修:伊藤晴夫(元千葉大学医学部泌尿器科教授、元千葉大学医学部附属病院長)
■急増している前立腺がん
前立腺は、男性の膀胱の出口付近にあるクリの実大の器官で、精液の一部(前立腺液)をつくっています。ほぼ中央を尿道が貫通しています。
前立腺がんは、日本では以前、非常に少ないがんでした。しかし、近年急増する傾向にあり、50年前と比べると死亡率は何と17倍にもなりました。

2020年には患者数が肺がんについで第2位になると予測されており(「がんの統計‘05」)、男性のがんで、前立腺がんが最も多い米国に近づくと心配されています。
■高齢化と食生活の欧米化によって増加
前立腺がんの罹患率は、50歳以降加齢とともに急カーブで上昇します。つまり、このがんが増えた原因のひとつは、日本人の平均寿命が延びたことです。

また、食生活の欧米化もがんの増加に関係しています。動物性脂肪のとりすぎと野菜(とくに緑黄色野菜)の摂取不足は、前立腺がんの危険因子とされています。
さらに、検査技術が進歩して、早期の微小ながんを発見できるようになったことも、結果的にこのがんを増加させました。
■「隠れたがん」が多いが、骨転移も起こす
前立腺がんは比較的ゆっくり進行します。そのため、がんと気づかないうちに、他の病気で死亡することがあります。また、前立腺肥大症の手術後、組織検査で微小ながんが見つかることもあります。前立腺がんには、このような「隠れたがん」が多いのです。
しかし、進行が遅いからといって放置してはいけません。前立腺がんは知らないうちに骨に転移することがあります。
■早期発見・早期治療が大切
前立腺がんもほかのがんと同じで、早期発見・早期治療が基本です。初期で悪性度の低いがん(A期の高分化型がん)のうちに発見できれば、5年生存率・10年生存率ともほぼ100%ですが、転移を起こした悪性度の高いがん(D期の低分化型がん)では、5年生存率は約20%に、10年生存率は10%未満に低下します。
(注)前立腺がんはA期→B期→C期→D期と進行していきます。また、悪性度は高分化型→中分化型→低分化型と高まっていきます。
■症状が出る前に検査
初期〜中期には特有の症状はありません。しかし、がんが進行すると尿道が圧迫されて排尿障害が現れたり、血尿や尿閉がみられたりします。また、がんが骨に転移すると、原因不明の腰痛や足のしびれが出たりします。この段階ではがんはそうとう広がっているので、症状が出る前に検査を受けるべきです。
検査ではPSA(前立腺特異抗原)検査が有効です。簡単な血液検査なので、50歳以上の男性は年1回の検査を心がけましょう。 |