一人でいることを、どう引き受けるか
絲山 秋子さん
昨年のデビュー以後、連続3回芥川賞候補に選ばれ、今年は川端康成文学賞を受賞。語り口のうまさは誰もが認める。デビュー作『イッツ・オンリー・トーク』ではそううつ病の女性を中心にした人間模様をカラリとした文体でつづり、『海の仙人』は無為徒食の男の日常を、こっけい味と哲学的深遠さを融合させ描いた。川端賞受賞作『袋小路の男』では、1人の男を10年以上思い続ける女の心情が抑え気味の筆致で語られる。
「恋愛や友達という言葉では表せない関係性、家族のように近しいのに、そこまでなれなれしくない微妙なバランスの2人を描いてみたかった」
原稿が追い込みに入ると、1日に10回以上プリントアウトして推敲(すいこう)する。意識するのは「リズムと音色。会話の質問と答えでも、音がかみ合うかどうか考える。頭の中で朗読しながら書きます」。
「てにをは」に至るまで彼女の文章が秀逸なのは、天賦の才能と、その文章に対する真摯(しんし)さによるのだろう。また、彼女の作品で潔く感じるのは、人々がみな、孤独ときちんと向き合っている点だ。
「1人でいることを、登場人物たちがどう引き受けているかということは、テーマの一つでもあります」
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いとやま・あきこ 1966年東京都生まれ。会社員を経て03年『イッツ・オンリー・トーク』で文学界新人賞
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愚直なまでに人を利用せず生きる姿に、励まされる人も多いのでは。ただし、そのテーマにこだわりはない。
「自分のスタイルを決めるのはまだ早い。やっていないことに挑戦していくうちに、文章を書く筋肉がついていけばいいなと思います」
書き下ろしの次回作は、来年3月ごろ刊行予定。「今度のは熱いですよ。主人公がまた全然違ったタイプです」。彼女の小説に対する挑戦は、始まったばかりだ。
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