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「週刊文春」発売禁止命令の取り消し決定 東京高裁

記者会見で笑顔を見せる笹本弘一第1編集局長=31日午後5時35分、東京都千代田区の文芸春秋本社で
記者会見で笑顔を見せる笹本弘一第1編集局長=31日午後5時35分、東京都千代田区の文芸春秋本社で

 田中真紀子前外相の長女の私生活を報じる記事を掲載した「週刊文春」(3月25日号)が出版差し止めの仮処分命令を受けた問題で、東京高裁は31日、表現の自由を尊重する立場から文春側の主張を認めて仮処分命令を取り消す決定をした。根本真裁判長は、記事によるプライバシー侵害があったと認定しながらも、「暴露された私事の内容・程度を考慮すると、出版の事前差し止めを認めるほど重大で著しく回復困難な損害が出る恐れはない」と述べた。長女側は、決定を不服としており、最高裁への許可抗告と特別抗告を検討している。

 表現の自由を優先するのか、それともプライバシー侵害を未然に防ぐことの方が重要なのか、の判断にあたって、根本裁判長は「表現の自由は民主主義体制の存立と健全な発展のために必要な、憲法上最も尊重されなければならない権利だ」と前置きした。そのうえで、「出版物の事前差し止めは、この自由に対する重大な制約で、これを認めるには慎重な上にも慎重な対応が要求されるべきだ」と述べ、極めて例外的な場合でなければ差し止めは許されないとの判断を示した。また、表現の自由は「(送り手だけでなく)受け手(読者、視聴者)の側も含む」と指摘し、表現の自由を享受する側の権利であることも指摘した。

 出版物の事前差し止めは原則的に認められず、一定の要件を満たした場合にのみ許されている。要件は、記事の内容が(1)公共の利害に関するものでなく、(2)掲載に公益目的がないことが明白で、(3)公表されることで書かれる側は著しく回復しがたい重大な損害をこうむる――との3点だ。

 公共性について文春側は、長女が著名な政治家一家の一員で、「記事は前外相の後継者に絡む問題を報じた」と主張。しかし、高裁は「自ら政治家志望の意向を表明している場合などは別だが、現時点では政界入りするかどうかは憶測にすぎない」と述べて公共性を否定。「現時点では一私人の私事に過ぎず、公表によってプライバシーが侵害される」として公益性も認めなかった。

 そのうえで、根本裁判長は、被害者が受ける損害の程度を検討した。文春が報じた長女の私事は、日本の婚姻制度のもとで、それ自体は社会的に非難されたり、人格的に負をもたらすものと理解されたりする事柄ではないと指摘。「当事者にとって広く伝わることを好まない場合が多いとしても、日常生活で人が耳にし、目にする情報の一つにすぎない」とし、「事前差し止めを認めなければならないほどの重大な損害が出る恐れはない」と結論づけた。

 仮処分命令に反したときは長女側に1日274万円を支払うよう文春側に命じた東京地裁の「間接強制」決定は、高裁決定によって効力を失う。

 この問題をめぐっては、16日に東京地裁(鬼沢友直裁判官)が長女側の申し立てを相当と認め、出版差し止めを命じた。文春側が異議を申し立てたが、同地裁(大橋寛明裁判長)は19日に異議を退けた。これを不服として文春側が東京高裁に保全抗告していた。

 文春の3月25日号は、77万部のうち74万部が流通ルートに乗っており、決定の効力が及ぶ範囲は未出荷の3万部のみ。

 根本裁判長は大阪高裁時代の00年、大阪府堺市で、19歳当時に殺傷事件を起こしたとされる男性の実名と顔写真が「新潮45」に掲載されたことの可否をめぐる訴訟で、「掲載は社会の正当な関心事」を認める判決を言い渡している。プライバシー問題に詳しい判事だけに、抗告審の決定が注目されていた。 (03/31)


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