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遠藤周作氏代表作の「沈黙」、幻の自筆草稿を発見

「沈黙」の自筆草稿の一部。3B程度の鉛筆で書かれている
「沈黙」の自筆草稿の一部。3B程度の鉛筆で書かれている

 作家・遠藤周作氏(1923〜96)の代表作「沈黙」(66年)の「幻の自筆草稿」や創作ノート、日記などが、長崎・外海(そとめ)町立遠藤周作文学館で見つかった。A3判の原稿用紙の裏側にびっしりと書かれた約20枚(作品冒頭部分で全体の約5分の1)の自筆草稿などからは、日本の中のキリスト教という「沈黙」の主題が、深まっていく過程が読みとれる。

 同館の藤田尚子研究員が、遠藤家から寄贈された2万点以上の蔵書や原稿、日用品などを整理して見つけた。

 「沈黙」は、キリシタン禁制下の17世紀の日本に潜入した司祭ロドリゴが、日本人信徒の迫害を前にキリストの顔などが描かれた踏み絵を踏む物語。遠藤文学の評価を決定的にした作品だった。

 遠藤氏は、純文学作品では原稿用紙の裏側に草稿を書く習慣があったが、「沈黙」の場合は「風呂の焚(た)き付けにしてしまった」とエッセーに記していたため、研究者の間でも「幻の草稿」と思われていた。

 自筆草稿をゲラ刷りや初版本などと比較した藤田さんによれば、最も大きな変化は、ロドリゴが思い浮かべるキリストの顔の描写だったという。

 自筆草稿や遠藤氏の秘書による清書稿では全く記述がなく、ゲラ刷りでも「力強い顔」という簡潔な描写だった部分は、初版本では「雄々しい力強い顔でした。私はその顔に愛を感じます。男がその恋人の顔にひきつけられるように、私は基督(キリスト)の顔にいつも引き付けられるのです」となった。

 遠藤文学に詳しい加藤宗哉・三田文学編集長は「『沈黙』ではキリストの顔が、強く厳しい父親的な表情から、背教者をも許す弱く優しい母親的な表情に変わる。母親的な神は遠藤文学の永遠のテーマ。顔についての加筆でテーマがより明確になり、クライマックスの踏み絵の場面が効果的になった」と話す。

 自筆原稿の写真などを収録し、藤田さんの研究をまとめた「遠藤周作『沈黙』草稿 翻刻」は、同館から4月下旬に出版される。問い合わせは制作・販売を担当する長崎文献社(095・823・5247)へ。 (04/06)


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