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ハンセン病で強制隔離された元患者の詩や小説などを集めた「ハンセン病文学全集」(皓星社)がなかなか売れない。頼みの図書館も買い渋る。理由は全10巻(うち既刊7巻)で1巻4800円という価格だ。元患者の高齢化が進む中、発行元や編集委員は「図書館の蔵書として広く後世に残したい」と訴える。
皓星社は従業員4人。藤巻修一社長(58)は20代で群馬県の療養所を訪ね、隔離された入所者たちが多くの作品を残していると知った。その後、出版社を設立し、十数年前、作品目録をつくることから準備にかかった。02年8月、刊行を始めた。
作品の質は高く、全集の編集委員には評論家・鶴見俊輔、作家・加賀乙彦、詩人・大岡信の各氏らが名を連ねた。
ハンセン病患者の作品としては「いのちの初夜」(北條民雄)が有名だ。不治の病とされた時代に療養所で暮らす苦悩が描かれている。ハンセン病国家賠償訴訟の名誉原告団長だった島比呂志氏の「奇妙な国」は、療養所を小さな国とみなして風刺している。
全集にはこれらの作品のほか、療養所に隔離された中学1年の少女が母親について「たまらなくなつて『お母さん』と大きな声で呼んで」みたと書いた作文なども収録されている。
だが、皓星社が昨夏、東京都内の図書館のうち292館を調べたところ、一巻でも確認できたのは23館だけだった。今のところ各巻1000冊ほどの売れ行きだ。
ある図書館の関係者は「小さな図書館の予算は限られている。『ベストセラーを読みたい』という市民の要望に応えるのも図書館の役目なのです」と説明する。
加賀さんは話す。「隔離され、病気や患者たちの真の姿が知られなかったことが差別や偏見を温存させた。この全集には民主主義が見落としてきた問題が記されている。図書館は貸出率だけに目を奪われず、よい文学を残すという使命を果たしてほしい」
(12/05)
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