【若松真平】日本の代表的な電機メーカー、東芝の社員食堂では、東日本大震災の被災地から食材を定期的に仕入れて料理を提供し、少しでも量を増やそうと取引先にも参加を呼びかけている。そうした努力を支えているのが実は調達部門なのだという。
JR浜松町駅から屋根付きの通路を歩くこと10分。ドラマの舞台として使われたこともある東芝ビル(東京都港区)が見えてきた。食堂で取り組んでいる復興支援について、調達部の岡山徹さん(45)に聞いた。
――食堂取材のときは広報担当の方が対応するケースが多いのですが、今回はなぜ調達担当の岡山さんなんですか?
「被災地の食材を使うにあたって、企画段階から関与しているからです。きっかけは、社長の佐々木(則夫氏)が昨年夏に宮城県南三陸町の志津川漁港を訪れたことでした。『漁業の復興支援のために何かできないか』ということで、社員食堂で地元のサンマやサケを使った料理を提供することになったのです」
――社員の反応は?
「用意した料理の9割が売れるなど好評でした。社長から『横に展開できないか』という話が出て、我々調達部門に話がおりてきたんです」
――調達部門といえば、優れた製品を生み出すため、「いいものを安く仕入れる」を使命とする部署でしょう。で、どうしたんですか?
「東芝では2008年から年に1回、国内外の主要サプライヤーが集まる説明会を開いています。副社長で調達担当の田中(久雄・次期社長)に社長が相談して、『説明会の場で協力をよびかけよう』ということになったんです。量を確保するためには、うちだけでなく1社でも多い方がいいですから」