戦後のベビーブーマーとして生まれ、受験戦争を生き抜き、ビートルズやグループサウンズに熱中し、日本の高度成長を第一線で引っ張ってきた、いわゆる「団塊の世代」が07年以降次々と60歳を迎える。出生時から何かと注目されてきた世代であるが、彼らがビジネスの第一線から引退するに当たっても、いろいろな社会現象を引き起こすのではないかと懸念されている。これが「2007年問題」である。
いろいろな説がある。「700万人にも上るといわれる彼らが一斉に引退することにより、消費が大きく減退する」とか、「IT業界では、大型電算機のメンテナンスを担ってきたベテランSE(システムエンジニア)の退職で基幹系システムに不具合が生じる」といった不安。製造業でも「モノづくりの現場を支えてきたベテラン技能職の退職により、技能の伝承が途絶え、日本の製造力が衰える」などといわれる。しかしながら、「彼らが年金の支払い側から受け取り側にまわることで、年金負担が増大する」ということを除いては、特に明確な根拠があるわけではない。
コンピューターの誤作動が懸念された「2000年問題」のように、全社挙げての対策が必要になるものではない。ただ、企業としては現在も多くが中核として活躍している世代の引退に備え、後継者の育成や彼らが培ってきたノウハウなどの継承といった対策を考えておかなければならない。そのために中途採用を積極化する企業も出始めている。
一方で、「改正高年齢者雇用安定法」の趣旨を受け、60歳以降も彼らを契約社員などで継続雇用することにより、ポスト団塊の世代へのシフトを軟着陸させるというやり方もある。
いずれにしても、いかにして企業のパワーを劣化させず、次世代にうまくバトンタッチしていくのか。企業の創意工夫が問われている。(H)