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歴史に無自覚な学者は失格

2006年12月26日

 先月なくなったフリードマンはシカゴ学派、マネタリストの代表的存在であり、レーガノミクスやサッチャーリズムの理論的な支柱であった。新自由主義を主流に押し上げ、70年代後半から80年代までの先進国の経済政策に大きな影響を与えた。経済理論面では「市場を絶対的に信頼し政府を信頼しない」という新古典派の形成を促し、ケインズを時代遅れの遺物として葬り去った。

 経済理論は、普遍性を追求する自然科学とは異なり歴史的産物である。フリードマン理論が主流となったのも、先進国のスタグフレーションという病の存在する特定の歴史が産み落としたものである。その意味で、大きくなりすぎた政府を是正し、何とか経済の活力を取り戻したいという思いが切実だった「欧米のあの時代」ならではの意義と必然性があった。実はそこで否定されたケインズ理論がやはり世界大恐慌の時代の産物であったこととその意味ではまったく同じである。歴史的な経路や段階が違えば適用される経済理論も異なって当然である。

 今後の10年間の中で財政再建をいかに図るのかがわが国の大きな政策課題である。その論議の中で、フリードマンに由来する新自由主義、新古典派的な考え方が幅を利かすのは、歴史的に見て当然であろう。しかしわが国の多くの経済学者、特に若手に感じるのはそのような歴史的なバックグラウンドから論議しているという自覚の欠如である。あたかも物理学の法則を論じてこと足りるとする薄さを感じる。

 現在の歴史的局面からみて、不祥事で辞任した政府税調会長後任の選考はきわめて重要である。経済学と物理学を科学として同一視して居心地の悪さを感じないような人物ではいけない。政権周辺にいる経済学者の中から、「歴史的な自覚」を有する後任を選ぶのは、砂の中のダイヤモンドを探す難事であるかもしれない。(龍)

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