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簡便化する起業
2006年05月03日
■資本金1円でOK、新設は「株式」基本
Q 会社をつくるのが簡単になったらしいね。
A 「最低資本金」制度が撤廃されたからね。従来は株式会社は1000万円、有限会社は300万円の最低資本金が必要だった。債権者を保護する目的だが、起業をしやすくするなどの理由から会社法ではその規制をなくし、極端に言えば資本金1円でもよくなった。
Q 資本金1円で会社ができるという話題は、以前も聞いたけど。
A これまで認めてきた「1円起業」は特例措置で、5年以内に最低資本金まで増やす必要があった。そうした条件がなくなって、脱サラした人や主婦、学生、大学の研究者なども、より簡単に会社がつくれるようになったと言える。
Q 会社は本当に1円でつくれるの?
A 会社登記に必要な諸費用などを合わせると、株式会社の場合で最低でも24万円くらいはかかるし、実際の会社運営にはそれとは別に相応の資金が必要だ。
Q 有限会社もなくなるって本当?
A 既存の有限会社は続けられるけど、新設の会社は今後、株式会社が基本になる。設立手続きなどが簡単な有限会社は中小企業を想定した形態だ。会社の事業規模が大きくなって、より多くの人から資金を集めたいなどの理由で株式会社に変わろうとすると、資本金の積み増しや商号変更など煩雑な事務が必要だった。今後は企業の成長に応じて、内部の組織を変えるだけでよくなる。
Q 具体的には?
A 会社法では、株式会社でも中小会社(資本金が5億円未満かつ負債総額が200億円未満)で、すべての株式に譲渡制限がついている株式譲渡制限会社なら、取締役が1人で監査役がいない形も選べるようにした。有限会社と似た形だ。大会社や、自由に譲渡できる株式が一部でもある公開会社など、規模が大きくなると監査役や取締役会を置く必要がある。
Q 会社法では、ほかにも新しい会社の形態ができたらしいね。
A 民法上の組合と、株式会社の特徴を合わせた合同会社(LLC)のことだね。民法上の組合のように、出資比率にかかわらず仲間の総意で自由に利益配分を決められる一方で、株式会社のように事業で生じた損害は出資分だけに限られるようになる。お金はないけど技術はある人と、投資先をさがしている大企業が組んでベンチャー企業を立ち上げ、出資額が少ない技術者も、利益は相応に受け取れるような仕組みができたんだ。
◇
〈中小企業〉
■有限会社、株式会社化の動き鈍く 経営者側、経営厳しく「余裕ない」
東京都大田区の町工場街。立ち並ぶ中小企業の看板は、株式会社と有限会社が混在している。
缶詰のふたなどを製造する工場は、歴史40年以上の有限会社。資本金は1000万円で従業員は10人以下という。荷物を運んでいた社長(75)は「もう有限会社は作れないんだから、むしろ宝物だ。株式会社にしたところで銀行が簡単に融資するわけがない」と笑った。
中小企業庁によると、国内企業の99.7%は中小企業。総務省の04年事業所・企業統計調査では企業全体の53%、約82万社が有限会社だ。東京商工会議所などは「経営の自由度が高まる会社法の活用」を呼びかけるが、株式会社に変えたいという有限会社の経営者は少ないという。
動きが鈍い背景には、厳しい経営環境もあるようだ。大田区のサッシ製造会社は株式会社で、兄弟3人で取締役を務める。原材料の高騰に発注元は「企業努力で吸収してくれ」と言うばかり。三男の工場長(60)はタオルでほおをぬぐいながら「余裕があれば会社法に対応した相続対策も考えたいが、今は従業員20人を食わせるので精いっぱいだ」と話す。
中小が無関心なわけではない。東商が2月、会社法のセミナーを2回催したところ、会員の中小経営者計650人が参加、会場は満席状態だった。質問が多かったのは定款変更。会社法で細かなルールが変わり、経営者らは、これまでの定款で法律違反にならないか気にかける。
一方、東商の創業相談窓口では、「1円起業」や「1人取締役」についての相談も増えたという。起業を考えている人々は、会社法に刺激されているようだ。
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