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末吉竹二郎のCSR入門 第3回 行政はCSRを後押しする知恵を

 力が弱まったとはいえ、国や自治体には、各企業がCSRに取り組みやすくなるような、一面では取り組まざるを得なくなるようなシステムづくり、環境づくりをする役割があります。残念ながら、企業の「善意」だけに任せておくわけにはいかないからです。

 オバマ米大統領は就任演説で、「我々の子供たちの子供たち」に対して恥ずかしくない行動をとろうと呼びかけましたが、この視点は大変重要です。目先のコスト増につながるCSRの推進は、特定企業の一種の「既得権益」を守ろうとする立場とは、当然に矛盾する。将来の市民、私たちの子孫たちの利益を守るという大局的な立場から、そこを踏み越えられるかどうか、政治、行政の認識とリーダーシップが問われるところです。そしてこの点で、わが国の政府の姿勢には疑問を呈さざるをえません。でも、CSRを要求することが、特定企業だけをいじめることになるという発想自体、視野が狭い。具体的な取り組みは個々の企業が行なうとしても、それが社会全体の利益につながるのならば、そのコストは社会全体で負担する。それを可能にする仕組みは、いくらでも工夫することができるからです。

 さて、行政が企業の取り組みを求める方法として、ヨーロッパなどで行なわれている「ライト・タッチ・ポリシー(またはソフト・ロー)」と呼ばれる手法は参考になります。例えばフランスでは、企業法の中で、年次報告書に環境対策やCSRに関する記述を義務づけています。つまり、CSRに取り組むかどうかは自由だけれど、何もしない場合は、そう書かなければならないわけです。これは企業にとってはかなりのプレッシャーとなり、間接的ながらその行動を促す効果は大きいのです。

 日本は、このように法律に明文化することを嫌う傾向が強いようです。しかし法律の効果は、縛ること、強制することだけではありません。CSRを考えながら、ためらっている経営者にとっては、法的根拠を与えられることが、思い切って一歩を踏み出すきっかけともなることを、忘れてはならないでしょう。

末吉竹二郎
国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問
東京大学経済学部卒業後、三菱銀行入行。三菱銀行ニューヨーク支店長・取締役、東京三菱銀行信託会社(N Y)頭取、日興アセットマネジメント副社長を経て、国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問に就任。著書に『最新CSR事情』(泰文堂)、『有害連鎖』(幻冬舎)、『カーボンリスク』(北星堂書店)など。TBS「みのもんたの朝ズバッ!」月曜レギュラーコメンテーターとしても活躍中。

CSR活動の現場から

Strategic Philanthropy Forum 2009
〜 Cash&SalesとCare&Solidarity 両立の時代へ 〜

企業と社会がともに進化できるCSR活動を
日本アイ・ビー・エム株式会社

知っておきたいCSRの今〜社会的な信頼度をあげるために〜

第6回 「サステナビリティ」とCSR(2)

写真:薗田綾子

薗田綾子
株式会社クレアン 代表取締役

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