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知っておきたいCSRの今〜社会的な信頼度をあげるために〜 第3回 CSRはコスト? 投資?

 世界同時経済不況を背景に、各企業でも経費削減の要求は厳しくなっている。特に海外市場で利益を出していたグローバル企業への打撃は非常に大きい。例外なく、CSR活動やCSRレポートもその対象になり、CSR活動をお休みしてしまったり、レポートそのものを出さないという企業もあったりするが、本当にそれでいいのだろうか。

 そもそも、CSRはコストと考えるべきなのか?
 前回コラムの「CSRを進めるメリット」でも整理したとおり、CSRを進める根底には、人材を育てるという考え方がある。人材育成は、基本的には明日のビジネスへの投資とみるべきである。経営層や社員のモチベーションがダウンするようでは、ビジネスも持続可能ではない。また、変化が大きな時代、組織の持続可能性のためには、明確で焦点のはっきりした共通の目的が重要になってくる。一人ひとりの社員が仕事への使命感を持ち、最大の成果が出せるような組織を目指すなら、「自分たちの会社は社会にどんな価値を提供できるのか」を改めて定義付けるべきだろう。

 CSRを推進してきた企業にとって、コスト削減のためとはいえせっかく社内浸透が進んだCSR意識を後退させるデメリットは大きい。そうした企業では、特に若手社員のなかに、うちの会社に未来はあるのだろうか、いつかは自分もリストラされてしまうかも、という不安が募るだろう。もちろん、そんな状態でいい仕事ができるはずもない。

 また、CSRの範囲の中には大きく分けて、守りのCSRと攻めのCSRがあるが、守りのCSR予算を削減することはリスクを増やすことにもなる。もしも、何かが起きたときには多額の費用がかかり、ともすると信頼関係が崩れて、企業のブランドイメージも失墜しかねない。また、攻めのCSRは事業そのものであるべきなので、ここの手綱を緩めるということは事業の可能性を薄くし、悪循環に陥る可能性が生じる。

 CSRの要素の中には、環境経営のようにCO2のリスクなど、数字で定量的な把握がしやすいものもあれば、多様性(ダイバーシティ)マネジメントのように短期ではすぐに効果が表れにくいものもある。けれども、中長期の経営で考えると、企業成長の活力として欠かせないものではないだろうか。

 CSRに投資をしすぎて会社として立ち行かなくなるのは本末転倒であるが、こんな世の中だからこそ、本質的なCSR経営が求められる。

薗田綾子
写真:薗田綾子 兵庫県西宮市生まれ。
甲南大学文学部社会学科卒業。1988年、女性を中心にしたマーケティング会社クレアンを設立。1995年、日本初のインターネットウィークリーマガジン「ベンチャーマガジン」を立ち上げ、編集長となる。そのころから、環境ビジネスをスタート。1996年 「地球は今」10巻シリーズを創刊。
現在は伊藤忠商事、住友林業、富士ゼロックスなど延べ約240社のCSRコンサルティングやCSR報告書の企画制作を提供。
NPO法人サステナビリティ日本フォーラム事務局長、NPO法人社会的責任投資フォーラム理事、有限責任中間法人環境ビジネスウィメン理事などを務める。

CSR活動の現場から

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〜 Cash&SalesとCare&Solidarity 両立の時代へ 〜

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末吉竹二郎
国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問

 わが国には「不言実行」を美徳とする伝統がありますが、ことCSRに関しては「有言実行」こそが大切であると、私は思います。はやりの言葉で言えば「見える化」、すなわち自分たちのCSR活動、環境対策などを分かりやすい形で公表する。それを私たち消費者がチェックし、評価し、サポートするという仕組みができれば、それは競合他社の行動を促し、業界全体の変化につながっていくからです。...

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