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企業と社会がともに進化できるCSR活動を
 日本アイ・ビー・エム株式会社 ステークホルダーと持続的に発展していく

写真:社会貢献部長 川嶋輝彦氏

社会貢献部長 川嶋輝彦氏

 IBMは、1914年の創業当時より「良き企業市民であれ」という企業理念を掲げ、現在もその理念を受け継ぎ、活動を時代の要請に応える形で進化させてきた。

 日本アイ・ビー・エムの社会貢献部長の川嶋輝彦氏は、この企業理念は「企業は社会の一員であり、社会とともにある」という考え方に基づいていると語る。「近年、CSRに注目が集まっている背景の一つには、かつてアメリカで起こったドットコム・バブルに代表される株主中心主義からの反省があると思いますが、CSRは本来、企業のめざす方向で違ってくるものです。ある企業にとってはその中心はコンプライアンス(順法精神)であるかもしれないですし、アカウンタビリティー(説明責任)や環境を核にしている企業もあるでしょう。我々についていえば、CSRは様々なステークホルダー(利害関係者)との信頼関係をベースに、ともに持続的に発展していくための活動であるととらえています」。

 同社にとってのステークホルダーは株主だけではない。取引先、流通関係者、地域社会、従業員、そのすべてを見据えた多方面にわたる社会貢献活動を積極的に行ってきた。「まだ、CSRの概念がなかった頃から、アメリカ本社では教育機関などへ寄付活動を行ってきたほか、『一切差別をしない』『多様な人材を育成する』というポリシーに基づき、戦前から女性の役員がいましたし、公民権運動の最盛期にも既に黒人の営業マンがいたと聞いています」。

社員の姿勢が社会へのメッセージとなっている

写真:社会貢献課長 横田由美子氏

社会貢献課長 横田由美子氏

 こうした企業風土だけあって、社員のCSR活動への意識は高い。2003年にグローバルで社員対象のボランティア活動支援プログラムを発表したところ、日本でも5000人の登録があり、現在までに19万5千時間、去年だけでも3万5千時間もの貢献があったという。当然ながら、役員も活動に積極的だという。「専用の安全なWebサイトで中高生のメンタリングを行うメンタープレイスという仕組みがあるのですが、場所や時間の制約を受けないので、多忙な役員たちも上手に時間をやりくりして子どもたちとのコミュニケーションを楽しんでいます。」と同社会貢献課長の横田由美子氏は微笑む。こうした社員の活動を支援するため、ボランティア休暇制度もある。また、40時間以上貢献した社員には活動先に資金やIBM製品が提供できるほか、50時間以上貢献した人には表彰もしているという。

 川嶋氏は「ボランティアに熱心で意識の高い社員は、仕事への貢献度も高い。活動先でエネルギーをもらえるという話をよく聞きますが、仕事への効果についても検証してみたいですね」と笑う。横田氏も「社員がお互いの社会意識を高めあう効果も大きいと思いますし、仕事を離れてネットワークができた結果、仕事にも役だったという声も良く聞きますね」と明かす。また、こうした社員の姿勢は、社会に対する企業からのメッセージにもなっているはずだ。川嶋氏は、企業の社会貢献活動を就職先決定の考慮点の一つと考える学生も増えているなか、優秀な人材の獲得にもつながっていると考える。

技術や専門性を生かした貢献を考える

 現在、日本アイ・ビー・エムが地域貢献活動のなかで最も重点を置いている分野は教育と環境だという。「特に教育は、日本における様々な問題の根本に位置する課題です。なかでも科学、環境、英語やキャリア教育の分野においては、我々の技術や専門性を生かした貢献が可能であると考えています」と川嶋氏は語る。そのひとつの活動が2005年に地域の学校と連携してスタートした「ROBOLAB教室」という、社員ボランティアによるロボットを使った出前授業だ。「子どもたちの理科離れが指摘されている今、企業が教育現場に入って行くことで動機付けの段階でお手伝いができないかという発想から始まりました」と川嶋氏。確かに本物のエンジニアによる授業には説得力がありそうだ。「アメリカではEWeek(Engineers Week)という、将来の職業にエンジニアを選択する子供が増えるよう、異なる企業のエンジニア職種の社員がキャリア開発のお手伝いをする会議体が存在しています。日本では、このROBOLAB教室を日本におけるEWeekの活動の中心に位置付けています」。出前授業ではこのほか、環境3Dゲームと風力発電機の模型を使った授業や、音声認識技術を用いた英語読解ソフトを使った英語の授業などもあるという。

 最後に今後のCSR活動についての展望を聞くと、「NPOや他企業との連携」という答えが返ってきた。「教育の分野においては、単に一社ではなく、多様な価値観を持つ複数企業の知見や力が合体することでより大きな効果が期待できるのではないかと考えます。今後は、株式会社とは何かということや、CSR活動の意義そのものについても伝えていける、新しい教育プログラムも展開していきたいと考えていますが、こうした分野では、尚更、異業種・他業種交流が重要になると思っています」。

次回は、実際の活動の1つである「ROBOLAB教室」の現場を紹介する。

CSR活動の現場から

Strategic Philanthropy Forum 2009
〜 Cash&SalesとCare&Solidarity 両立の時代へ 〜

企業と社会がともに進化できるCSR活動を
日本アイ・ビー・エム株式会社

知っておきたいCSRの今〜社会的な信頼度をあげるために〜

第6回 「サステナビリティ」とCSR(2)

写真:薗田綾子

薗田綾子
株式会社クレアン 代表取締役

 前回のコラムで「サステナビリティ」について説明したが、ここでポイントになるのは「地球の限界」という捉え方である。このままの経済社会の延長線上では、地球上の人口増加のスピードに食料や水、エネルギーの需要は追いつかず、近い将来には地球の生態系(生命維持システム)がオーバーシュートし崩壊してしまうと言われている。...

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末吉竹二郎のCSR入門

第5回 CSRで危機をチャンスに

写真:末吉竹二郎

末吉竹二郎
国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問

 わが国には「不言実行」を美徳とする伝統がありますが、ことCSRに関しては「有言実行」こそが大切であると、私は思います。はやりの言葉で言えば「見える化」、すなわち自分たちのCSR活動、環境対策などを分かりやすい形で公表する。それを私たち消費者がチェックし、評価し、サポートするという仕組みができれば、それは競合他社の行動を促し、業界全体の変化につながっていくからです。...

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