現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ニュース
  3. ビジネス
  4. CSR最新情報

CSR最新情報 「企業の社会的責任」の最新情報を配信する、情報発信サイトです。

Strategic Philanthropy Forum 2009
〜 Cash&SalesとCare&Solidarity 両立の時代へ 〜

 CSR活動にとって欠くことのできないパートナーであるNGOやNPO。60年以上にわたって途上国や紛争地域における貧困や差別の問題の解決に向けた活動を行っている世界有数の国際協力NGO、CARE。その日本事務局である(財)ケア・インターナショナル ジャパンの主催で、企業とNGOとの連携をテーマにしたフォーラムが開催された。様々な問題意識が共有され、活発な意見交換が行われたその模様を紹介する。第1回(全3回)

基調講演、海外事例紹介 | 国内事例紹介 | オープンフロアディスカッション

基調講演 Cash&Sales とCare&Solidarity 両立の時代へ
〜今の時代に、企業として追求すべき「未来志向の協働」とは (株)イースクエア 代表取締役社長 ピーター D. ピーダーセン氏

行き当たりばったりの社会貢献から戦略的社会貢献へ

写真:(株)イースクエア 代表取締役社長 ピーター D. ピーダーセン氏

ピーター D. ピーダーセン氏

 昨今の経済危機の発生によって、社会貢献とういうものが頭の痛い課題になっている企業も増えているでしょう。実際、多くの企業で社会貢献関連の予算がカットされています。しかし、見方を変えると、今の時代はこれまで行き当たりばったりだった社会貢献を見直し、戦略的な社会貢献を始める絶好の機会でもあるのです。

 まず、企業にとってNGOやNPOと連携する価値とは何でしょうか。多くの企業は、社会目的達成のために設立された組織であり、本来は事業利益と社会・世代間利益のバランスを継続的に考えるべき組織であるはずです。しかし、近年のグローバルな資本主義の広がりによって、企業は短期的な事業利益の追求のみに押されてしまっているのが現実です。そんななか、企業のカウンターバランスとして力をつけているのが、NGOやNPOです。これらの非営利組織は中長期的な思考で社会・世代間利益を追求するのが役割です。いわば、企業が手を出しにくくなっている領域をカバーする存在とも言えます。企業と非営利組織。これからは、この2つが別々に活動するのではなく、戦略的なパートナーシップを結んでいくべき時代になっていくでしょう。

企業と非営利組織との戦略的パートナーシップの成功へのカギ

 では、企業が非営利組織と戦略的パートナーシップを成功させるにはどうしたらよいでしょうか。私は、(1) 双方にメリットのあるパートナーシップ、(2) 対応可能な課題の明確化、(3)対等な関係の構築、(4)双方におけるプロフェショナリズムの追求、(5)中長期的な関係の構築といった5つの項目が大きなポイントとなると考えています。

 そして、その効果としては、(1)現場における成果、(2)従業員の士気向上、(3)企業ブランドの確立といったものが期待できるでしょう。企業としては、社会貢献活動に対する明確な決意表明を打ち出し、確かな実行計画を持つとともに、こうした効果を生み出す内容と実践方法を整えていくことが非常に重要となってくるでしょう。

海外事例紹介 経済的・社会的価値の融合に向けての企業‐NGO パートナーシップ 〜途上国におけるインパクトを最大化するための戦略とは CARE フランス 事務局長 フィリップ・レヴェック氏

写真:CARE フランス 事務局長 フィリップ・レヴェック氏

フィリップ・レヴェック氏

 私は企業とNGOの双方で働いた経験もあり、この2つをどのように結びつけるかについて長年関心を抱いてきました。本日は、業態や分野も違う国際的な企業とCAREとの協働の事例をいくつか紹介したいと思います。

 まず、世界最大の建材企業であるラファージュの活動を紹介します。アフリカで事業を展開している同社は、大勢の従業員や家族が感染しているHIVへの包括的な対策に2002年から着手しましたが、現在までの7年間の成果が数値として現れています。対策を何も講じなかった場合に予測されうる、病休や新たな雇用、そして新人研修にかかるコストなどをシュミレーションすると、明らかに予防や治療などの対策に要するコストの比にならないほど、膨大な金額がはじき出されます。実際、当該事業は成功事例として国連にも評価され、対策費として当初年間200万ドルかかっていたものが、国連から無償資金が得られるようになった現在は100万ドルに半減し、その活動も報道番組で紹介されるまでになりました。さらに、新たにSDパネル(持続可能な開発委員会)を開設し、他の課題への取り組みも始めています。この事例は、社会貢献活動を道徳的観点だけではなく、ビジネスの観点としてとらえることも可能かつ有効であることを示しています。

 このほか、フランスの銀行であるソシエテ ジェネラルの南米やアフリカ、アジア各地において社員が企画から実行段階まで深く関与して行っている教育プロジェクトや、アジアやアフリカの農村地域の人々に対して、彼らを将来の購入層ととらえ、現地の女性たちを採用して廉価な商品を販売しているバータ社とユニリーバ社の取り組み、そして、コーヒー豆を適切な価格で購入することで原産国を支援するスターバックスの事例なども、我々に様々な示唆を与えてくれています。

 こうした事例に共通することは、活動内容の透明性や公平性への意識の高さ、活動にかかわるすべての人のメリットが考えられている点です。

 日本企業も世界に対して大いに貢献できる力を持っています。ぜひ、多くの日本企業がこうした道を進んでいただけるよう願っております。

 次回は国内における事例を紹介します。

基調講演、海外事例紹介 | 国内事例紹介 | オープンフロアディスカッション

登檀者プロフィールはこちら >>

CSR活動の現場から

Strategic Philanthropy Forum 2009
〜 Cash&SalesとCare&Solidarity 両立の時代へ 〜

企業と社会がともに進化できるCSR活動を
日本アイ・ビー・エム株式会社

知っておきたいCSRの今〜社会的な信頼度をあげるために〜

第6回 「サステナビリティ」とCSR(2)

写真:薗田綾子

薗田綾子
株式会社クレアン 代表取締役

 前回のコラムで「サステナビリティ」について説明したが、ここでポイントになるのは「地球の限界」という捉え方である。このままの経済社会の延長線上では、地球上の人口増加のスピードに食料や水、エネルギーの需要は追いつかず、近い将来には地球の生態系(生命維持システム)がオーバーシュートし崩壊してしまうと言われている。...

続きはこちらから

末吉竹二郎のCSR入門

第5回 CSRで危機をチャンスに

写真:末吉竹二郎

末吉竹二郎
国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問

 わが国には「不言実行」を美徳とする伝統がありますが、ことCSRに関しては「有言実行」こそが大切であると、私は思います。はやりの言葉で言えば「見える化」、すなわち自分たちのCSR活動、環境対策などを分かりやすい形で公表する。それを私たち消費者がチェックし、評価し、サポートするという仕組みができれば、それは競合他社の行動を促し、業界全体の変化につながっていくからです。...

続きはこちらから