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サッカー観戦をエイズ撲滅に結びつける―JICA & Sony For the Next Generation in Ghana 2009

 2009年6月24日から7月3日にかけ、アフリカ・ガーナ共和国の7つの都市で、ユニークなイベントが開催された。同国でも人気のサッカーのパブリック・ビューイングとエイズ感染防止のキャンペーンがドッキング――大きな成果につながったこのプロジェクトは、JICAとソニーのコラボレーションで実現したもの。
JICA民間連携室の大貝室長とソニーCSR部の冨田部長に、官・民連携の意義や同プロジェクトの成果について語っていただいた。その内容を、2回に分けて掲載する。

第2回 官民連携で新たな世界貢献を切り拓いたJICAとソニー(後編) >>

第1回 官民連携で新たな世界貢献を切り拓いたJICAとソニー(前編)

ソニーのCSRの原点は創業者にある

写真:国際協力機構(JICA)
民間連携室長 大貝隆之

大貝 今回の事業で私どもJICAは、御社のCSR活動とコラボレートさせていただいたわけですが、ソニーといえば、わが国において、最も早くからCSRに対して正面から取り組みを始めた企業の一つですよね。

冨田 弊社がCSR部を創設したのは2003年3月。「CSR」の名を冠した部署は、私が知るかぎり日本で2番目でした。私はもともと研究職でしたが、その後環境管理などの仕事を経て、CSR部には立ち上げから参加していますから、私自身かなり長くCSRに関わっていることになりますね。

 しかし、ソニーのCSRの原点をたどると、創業者井深大の独特な経営理念にさかのぼります。むろん、当時はCSRなどという言葉はありませんでしたが……。

 例えば井深は、ソニーの前身・東京通信工業の設立趣意書の中で、「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」と謳っています。

大貝 なるほど、技術革新や会社の発展といった目標はもとより、社員の意欲や彼らの働く環境に目が向いていたのですね。

写真:ソニー(株)CSR部 統括部長 冨田秀実

冨田 そして井深は、戦後の日本が復興し発展していくためには、国民への科学的知識の普及が非常に重要だと考え、これも企業のミッションの一つとして、趣意書に盛り込んだのです。それが具体的に実現したのが、1959年に開始した「ソニー小学校理科教育振興資金」です。私どものCSR活動の記念すべき第一歩でした。

 その後、事業の発展とともにCSR活動の対象分野を音楽や映像関連にも拡げ、国内だけではなく海外でも、現在に至るまで継続されています。

大貝 すると、ちょうど50周年。素晴らしいですね。

冨田 ただ、こうした教育関連事業をはじめとする、従来の弊社のCSR活動は、そのほとんどが、弊社が拠点を持つ先進国で展開されていました。しかし、環境問題にせよ、国連ミレニアム開発目標に掲げられた諸問題にせよ、いま世界が抱える問題の多くはきわめてグローバルで、とりわけ途上国でこそ深刻を極めている。多国籍企業となったソニーが、そこに目をつぶっているわけにはいきません。

 それでここ数年、弊社のCSR活動は、途上国への支援を通したグローバルな課題の解決にも力を入れるようになってきました。今回のガーナでのプロジェクトも、その一つということになります。

大貝 アフリカに目を向けて頂いたことは、とても意義が大きいと思います。アジアに比べると、まだまだ日本企業の関心は薄いですからね。

新生JICAに「民間連携室」が発足した理由

写真

冨田 プロジェクトがスタートしたのは昨年の10月、ちょうどJICAの組織が大きく変わって、新生JICAとなった頃でしたよね。

大貝 おかげさまで、たいへん機能的な組織になりました。

 一口にODAといっても様々な形態があるのですが、旧JICAはそのうちで、技術協力とボランティア派遣事業を受け持っていました。そこに、有償資金協力(円借款)を扱っていた旧JBICの海外経済協力業務部門を統合、さらに外務省が実施していた無償資金協力についても一部を継承することになりました。その結果ODA事業のほぼ全体を、JICAという一つの組織で運営できるようになったのです。

冨田 それとともに、新しく「民間連携室」という部署もつくられたのですね。

大貝 主に御社のような民間企業との協力を促進するということで、私が初代室長をおおせつかりました。

冨田 なぜ、改めてそうした部署を新設する必要があったのですか。

大貝 たしかに、JICAはこれまでも、外部の団体や組織との連携を行なってきました。ただそれは、大学、NGO、地方自治体などが中心で、民間企業との事例は少なかったのです。

 民間企業との連携を深める必要性が高くなった背景の一つとして、途上国への資金の流れの変化が挙げられます。1990年代には、ODAが7割を占め、民間資金は3割でした。ところが、2006年にはこれが完全に逆転し、ODAが3割、民間が7割になっているのです。

 もはや途上国の開発援助は、ODAのみならず、民間企業の自主的な取り組みが大きな部分を占めています。それならODA側も、そうした民間企業との連携に係る支援や協力を強化することで、より効果的な事業展開が可能になるのではないかと考えたのです。実際、各経済団体などから、そうした内容の提言や要請は度々いただいておりました。また、欧米諸国では、この分野での官・民連携はあたり前になっています。

 それでわが国の政府も、少々遅ればせながら昨年の4月に連携の枠組みを策定。それを具体化する役割を担って誕生したのが、この「民間連携室」なのです。

官と民をつなぐという大切な役割

写真

冨田 今回のプロジェクトもそうですが、自社の拠点のない途上国での事業ということになると、私たちだけの力では実現することが不可能に近いため、適切なパートナーと手を組むことが、どうしても必要となります。実際、これまで国連機関やNGOなど、様々な機関と連携させていただきました。そして今回JICAの「民間連携室」と連携させていただくことになったわけです。

大貝  「民間連携」という言葉自体、官の発想かもしれませんが、実際の私たちの立ち位置は、官と民のちょうど中間ではないかと思うのです。官と民のそれぞれのニーズをうまくマッチングさせ、スムーズなコラボレーションを実現する、いわば「触媒」のような役割を果たすのが私たちだと認識しています。

冨田 その点では、私どもCSR部にも似たような触媒的な面があるかもしれません。今回のようにJICAなど外部の団体と会社をつなぐ窓口になるということもありますが、社内でも、普段は異なるフィールドで仕事をしていて、ほとんど接点のないような事業部同士をつなぎ、日常の業務では経験できない新たな視点のプロジェクトを実現させるという役割も担っていますから。

大貝 そうして見ると、民間連携室はJICAのCSR部と考えることができるかもしれませんね。今回、JICA内部でも水平的なつながりが生まれましたし、今後もそうした「つなげる」役割を果たしていきます。

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CSR活動の現場から

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写真:薗田綾子

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写真:末吉竹二郎

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