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蘇った緑の田んぼ NEC田んぼ作りプロジェクト

 都市の大企業と、過疎化・高齢化・荒廃農地の拡大に直面する地方の農村集落との、新しい共同の歩みが始まるかも知れない――NEC環境推進部が茨城県石岡市で取組む環境意識啓発活動「田んぼ作りプロジェクト」が予感させるものだ。

 始動して2010年で7年目を迎えた。同市東田中北ノ入地区に放置されていた荒廃田を、「100年後にトキが野生再生する」ことを目指して、情報通信メーカーの社員たちの力でよみがえらせようという取組みだ。

 このプロジェクトの魅力と未来はどこにあるか? 本年初頭の味噌造り&新酒の仕込み神事のイベントを訪ねた。(全2回)

第2回 田んぼ作りプロジェクト(後編) >>

大豆をつぶしてリフレッシュ

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皆で楽しく味噌造り
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子供の笑顔が印象的だ

 1月初頭、東田中の集会場は100人以上のNECの社員・家族・スタッフ・地区のサポーターでごった返した。昨秋収穫した大豆を使って特製味噌を仕込む体験イベント。毎回定員の3倍以上の応募がある人気企画だ。

 地元の(株)小倉味噌店の代表を講師に迎え、大釜で茹でた大豆をつぶし、麹や塩を混ぜ込んで味噌玉を作る。老若男女、力を合わせた共同作業だ。発酵熟成の管理は味噌会社が引き受けてくれる。

 「大豆をつぶす感触が面白い。リフレッシュします」と初参加の男性社員。「こんな経験初めて。粘土遊びみたい」と若手社員グループが歓声を上げる。「知ってる?大豆と枝豆は同じものなんだよ」と既に5年間も通っているという社員の子供(9歳)が、いろいろ教えてくれる……

 都会暮らしでは機会が少ない「農」や「伝統食文化」との直接のふれあいを、皆、存分に楽しんでいるようだった。

収穫米で七草粥・雑煮・餅を楽しむ

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黄な粉を挽き方を地元農家から学ぶ
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さぁ、昼ごはん。お腹すいた〜

 味噌造りが一段落すると待望の昼食。北ノ入の田んぼで収穫した米(品種:ニホンバレ)で作った七草粥や、庭先でスタッフが焼いた餅を使った雑煮などが並ぶ。七草粥に入れる春の七草は、地元農家の協力を得てスタッフが集めた。「この辺のタクアン漬けは、大根を鉈で切って漬けるんだよ」と、地元農家が持参した漬物を解説する。餅にまぶして食べた「黄な粉」も、地元農家の手ほどきを受け、手動の道具で大豆を製粉したものだ。

 スタッフの中には「師範」とか「師範代」と書かれた腕章をした人がいる。年6回の主要イベント(田植え・稲刈りなど)だけでなく、農地の維持管理を兼ね、苗作り・堆肥作りなど農作業や、わら細工・炭焼きなど農村生活の技を体得する「達人コース」に参加する従業員。その内で、「厳しくも楽しい昇級試験」に合格した人に与えられる称号だという。

酒蔵で神妙に神事

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酒蔵での神事。挨拶は白菊酒造の若専務。
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銘酒「愛酊で笑呼」

 昼食後は希望者を募って同市内の白菊酒造(株)へ。プロジェクトで作った米を原料にして特製日本酒「愛酊で笑呼」(ITでエコ)を醸してくれる酒蔵だ。毎年、無農薬・無化学肥料で栽培した米を精米歩合60%の純米酒で仕込んでいる。この日は、新酒の仕込みを前に、良い酒ができることを祈る神事が蔵で行われた。底冷えする蔵に80人ほどのNEC社員や白菊酒造の専務・杜氏(酒造りの頭領)・蔵人(酒造りに従事する職人)らが神妙な面持ちでびっしりと並んだ。

 「荒れた田んぼを蘇らそうと、NECの社員一同、地域の人々と力を合わせ…」。神主さんが上げる祝詞に、取組みの趣旨が読み込まれていたのは新鮮だった。

 「自分たちは子供の頃、なにかと神事に参加しましたが、今の子供たちにはなかなか機会がないことですから、良い経験になると思います」と子供とともに参加した女性社員。

 酒の仕込みを体験するプログラムも達人コースの中で別の日に用意されており、こちらは日本酒愛好家の社員に大評判だという。

次回はプロジェクトの背景と、地域にもたらした効果を紹介する。

第2回 田んぼ作りプロジェクト(後編) >>

CSR活動の現場から

Strategic Philanthropy Forum 2009
〜 Cash&SalesとCare&Solidarity 両立の時代へ 〜

企業と社会がともに進化できるCSR活動を
日本アイ・ビー・エム株式会社

知っておきたいCSRの今〜社会的な信頼度をあげるために〜

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写真:薗田綾子

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写真:末吉竹二郎

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国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問

 わが国には「不言実行」を美徳とする伝統がありますが、ことCSRに関しては「有言実行」こそが大切であると、私は思います。はやりの言葉で言えば「見える化」、すなわち自分たちのCSR活動、環境対策などを分かりやすい形で公表する。それを私たち消費者がチェックし、評価し、サポートするという仕組みができれば、それは競合他社の行動を促し、業界全体の変化につながっていくからです。...

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