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株券電子化特集

ここが聞きたい     株主名簿管理人の仕事とは

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牧野達也(まきの・たつや)さん
三菱UFJ信託銀行証券代行部会社法務コンサルティング室室長
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株主名簿管理人とはどのような仕事でしょうか。
牧野
文字通り、株主名簿の作成・管理を行うのが中心的な仕事です。株主名簿をつくって、株主に対して総会の招集通知をはじめとする各種通知物の発送や配当金の支払をするのは、本来、株式を発行している会社自身が行うべきものですが、これらを会社の委託を受けて、会社に代わって行っているのが、株主名簿管理人です。 株主名簿管理人の業務としては、単に株主名簿を作成・管理するだけではなく、そこから派生する事務、たとえば、名義書換や住所変更の受付、単元未満株式(端株)の買い取りや買い増し、株主総会の案内の送付、議決権行使の集計、配当金関係の事務なども行っています。このように、事務が商品の業務なので、大量の事務処理をいかに正確かつ迅速に行うかが重要です。
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三菱UFJ信託銀行はこの分野の最大手と聞きます。
牧野
業界シェアは約4割。2007年3月末現在で1607社、株主2215万人に対してサービスを行っています。代表的な受託先企業として、株主数の多い順に申し上げると、ソニー、東京電力、NTTドコモなどがあります。
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株券電子化に向け忙しくなっていますか。
牧野
最近、個人株主の方からの相続に伴う名義書換とか、過去の株式の異動状況を調査してほしいという依頼が多数きています。これは、証券会社が、電子化に向けていわゆるタンス株券を取り込もうと積極的なアピールをしていることも一因でしょう。 株式の異動状況の調査依頼にもとづき、当社は「株主名簿の異動状況を記載した書面」を作成しますが、これは証券会社の特定口座に預ける時に提出が求められるようです。 この書面は、株主の方が、その株式をいつ取得し名義書換をされたのか、その後、いつ買い増ししたり、売ったりしたのか、あるいは株式分割や株式併合による株数の増減といった、その方の株主名簿におけるヒストリーが一覧できるような形で提供しています。 これをもとに、証券会社では、株主の方の株式の取得価格を設定しているようです。 電子化前に株券を証券会社に保護預かりを依頼する際、通常は特定口座に入れるケースが一般的と思われます。特定口座に入れる場合には、ご本人名義の株券であることが前提でしょうから名義書換が増加する、ことにタンス株券はお亡くなりになった方の名義のままのことも少なからずあるので、相続に伴う名義書換が増加する。また取得価格を設定するためには株主名簿の異動状況を記載した書面が必要となるということで、これらの事務が増えているものとみています。
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名義書き換えの方はどうでしょう。
牧野
特定口座に預け入れるにあたっては本人名義に書き換えてからにする必要があるので、名義書き換えも増えている。個人の方からの名義書き換えとか。もともとタンス株で、亡くなった親御さんの株券の相続の手続きにともなう名義書き換えが増えてきている。証券会社を訪れ、そこでアドバイスを受けたり、テレビなどでさかんに流されているPRを見たりしているし。それで家の中を探してみたら、あったとか。あるいは、父親名義の株券がみつかったが、証券会社に預けるには、本人の名義に換える必要があるとか。相続の件数でいうと、昨年の2倍から3倍になっている。証券会社等のPRの効果はずいぶん出ているようです。
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電子化へ向け実務面で通常と違う点などは。
牧野
普段はあまり扱っていない古い株券を手にすると、実務の一線にいる職員も多少の戸惑いはあるようです。最近の株券は機械で読み取れる文字が入っているが、古いものはそういう文字がなく、手作業での処理になる。また、株券のサイズが不揃いで大きかったり、黄ばんでいたりすると、いよいよ電子化でこういう株券が流通しなくなるということを実感する面はあります。
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個人株主の側にも戸惑いなどがあるのでは。
牧野
電子化で確かに便利にはなるが、株券に対して特別な思い入れを持っている株主もいる。例えば、日本郵船の昔の株券は帆船の絵が載っている非常に特徴的な株券で、これをずっと持ち続けたいという方もいる。本来なら、定型サイズというか、コンパクトなサイズにかえるが、これまではあえて代えないでくれ、と言っていた。株券として商号が変わってきたりすれば新しいものを渡すしかないが、昔の株券がそのまま有効であれば、その要望に応えてきたのです。電子化されると、そういう株券も効力はなくなる。また、個人株主として思い入れが深いのは、先祖代々の名前が載っているもの。それは捨てがたいというか、そのまま持っておきたいということを聞きます。古い株券だと、20人分くらい名前を書く欄がある。株式、株券という現代の経済を支える一見ドライな紙片にも、人間の思いや営みが刻み込まれているのでしょう。

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