現在位置:asahi.com>ビジネス> 株券電子化特集> ここが聞きたい> 記事 ほふり 斉藤部長の株券電子化セミナー 株券電子化後の株式の譲渡と担保の取扱い今回は株券電子化後の株式の譲渡と担保の取扱いについて説明したいと思います。 以前にも触れましたが、株券電子化とは、ひとことで言うと、株券電子化が実施される日(一斉移行日)において、上場会社が発行している株券がすべて無効となり、証券会社や銀行などの金融機関に開設された株主や質権者の口座の電子的な記録により株式を管理する制度に切り替わることです。つまり、株券電子化後の制度においては、「口座」の存在が大前提となります。 この株券電子化後の「口座」には「保有欄」と「質権欄」という2つの欄があります。例えば、甲名義の口座が開設された場合、その保有欄には甲が保有する株式が記録され、その質権欄には甲が質権者である場合に質権が設定された株式が記録されます。 それではまず、株式の譲渡をする場合についてみてみましょう。 現在、売買により株式を譲渡する場合には、売手が買手に株券を引き渡す(「ほふり」をご利用の場合には、現物の株券そのものの引渡しに代えて口座振替の方法によることも可能)ことが必要となりますが、株券電子化後は、株券を引き渡す代わりに、売手の口座の保有欄に記録されている株式を買手の口座の保有欄に振り替えることになります。 この手続きをもう少し具体的に説明します。まず、売手は自分の口座のある証券会社等に対して「振替の申請」を行います。この際には、いつ、どの口座(売手の口座の保有欄)から、どの口座(買手の口座の保有欄)に、どの銘柄を、何株振り替えるのか指定します。この申請が行われると、売手の口座の保有欄における指定された銘柄の指定された株数が減少され、証券会社等と「ほふり」を結ぶネットワークを通じた処理により、最終的に買手の口座の保有欄にその銘柄の指定された株数の増加の記録がされて、振替が完了します。 もっとも、証券会社へ売り注文を出し、証券取引所市場を通じて売買をする場合については、「ほふり」を通じて口座振替が行われていますので、実際上の手続きとしては、株券電子化前後で基本的に変わるところはありません。一方で、証券取引所市場を通さない相対での売買については、現在は機関投資家などを除き、現物の株券そのものを引き渡す方法により譲渡することが多いと思われますが、株券電子化後はすべて口座振替の方法により譲渡することとなります。 次は株式を担保とする場合です。 現在、担保として株式を差し入れる場合には、差入れ人が受入れ人に株券を引き渡す(「ほふり」をご利用の場合には口座振替の方法によることも可能ですが、現在、一般の担保取引に関しては、現物の株券を引き渡す方法が大半です)ことが必要となりますが、株券電子化後は、質入れの場合であれば、差入れ人(質権設定者)の口座の保有欄に記録されている株式を受入れ人(質権者)の口座の質権欄に振り替えることが必要となります。 この手続きをもう少し具体的に、A(質権設定者)がB銀行(質権者)に質入れする場合を例に説明しましょう。まず、Aは自分の口座のある証券会社等に対して「振替の申請」を行います。この際には、いつ、どの口座(Aの口座の保有欄)から、どの口座(B銀行の口座の質権欄)に、どの銘柄を、何株振り替えるのか指定します。そして、この質権欄への「振替の申請」が行われると、Aの口座の保有欄における指定された銘柄の株数が減少され、証券会社等と「ほふり」を結ぶネットワークを通じた処理により、最終的にB銀行の口座の質権欄にその銘柄の指定された株数の増加の記録がされるとともに質権設定者であるAの氏名や住所の情報も記録されます。 売買による譲渡(買手の口座に株数が記録される)の場合とは異なり、質入れの場合は質権者の口座に株数と質権設定者の氏名等が記録されます。その理由は、譲渡の場合には、売手は株主でなくなり買手が新たに株主になるのに対し、質入れの場合には、質権者が新たに株主になるのではなく質権設定者が依然として「株主」であるからです。このあたりについては、次回以降の株券電子化後における株主の権利行使(総株主通知等)のところであらためて説明します。 以上、株券電子化後の担保の取扱いを大まかに説明しましたが、銀行などの金融機関を含め、多くの人にとって株券電子化後の口座振替の方法による担保設定はほとんど経験のない手続きになります。また、金融機関が現在担保として管理している株券に関して、株券電子化に向けて取り組まなければならない事柄もたくさんあります。このあたりの課題については、全国銀行協会が精力的に取り組んできており、同協会のホームページには、担保の取扱いに関する専門的な資料のほかに、一般向けの分かりやすい資料も掲載されていますので、是非ご覧ください。 全国銀行協会のホームページ (1)「株券電子化に伴う株式担保の一斉移行対応(Q&A)(第1版)(公表資料)」 (3)「株券電子化に伴う株式担保の一斉移行対応(Q&A)(第2版)(公表資料)」 (4)「株券の電子化に伴う株式担保取引Q&A」(一般向け) (証券保管振替機構業務部長 斉藤宗孝) ※株式等振替制度の稼働に向けて、本年1月7日付で組織の変更(注)の関係から役職が変わりました。 |
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