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株券電子化特集

ここが聞きたい     気をつけないといけない落とし穴(下)

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横山淳(よこやま・じゅん)さん
大和総研・制度調査部統括次長
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前回の名義書き換えをしていない問題以外にも落とし穴がありますか。
横山
いま非常に問題になっているのが、株を担保にしているケースです。つまり、株を元手にお金を借りる場合ですね。中堅、中小企業や個人事業主などが商売上の取引でやりとりする時に、万が一返済できない場合に備えて株券を渡して担保にするわけですが、この問題は根深いです。
――
どのような場合に問題があるのでしょう。
横山
現物株を受け渡しして、それがタンス株化している場合がトラブルになりやすいのです。株主名簿に誰に株券を渡し、質としているという質権設定をしていれば問題はありません。しかし、株主名簿に記載しないまま株券そのものを手渡しして担保としている略式質の場合が問題なのです。名義は債権者ではなく、債務者のままになってしまうわけです。ほふりも株主名簿に記載されていないため把握できず、本人同士しかわからない状況となってしまいます。
――
ということは電子化が訪れると……。
横山
担保が単なる紙切れになってしまいます。担保でなくなってしまうわけです。
――
株券を担保として保管していることを忘れると大変ですね。
横山
管理が行き届いている企業ならまず大丈夫でしょうが、ほとんど個人経営的な零細企業などでずいぶん長い間、保管していて、うっかり忘れていると問題になります。権利を移し替えるのも難しい。株券を実際に持っている人(担保権を持っている人)と名義人が分離しているので、扱いが難しくなるのです。電子化対応する時に株券発行会社もからんでくるので余計にややこしくなります。
――
株券を略式質で担保としているケースはどれくらいあるとみられるのですか。
横山
現物株を渡して、「はい担保です」とした方が簡単ということで、株式を担保とする場合の件数でみると7〜8割は略式で受け渡ししているという話を聞きます。扱う金融機関も非常に困っている。そのままだと担保が無価値になってしまいます。
――
しかし、債権請求はできますよね。
横山
それは可能です。手続きとしては、発行会社が株主名簿から名義人を見つけて特別口座を作り、一度、取り出してそれに担保設定をするという流れとなります。ただし、とても時間がかかると言われています。
――
どれくらい時間がかかるのですか。
横山
タンス株で特別口座に入ったものは、かなり細かく調べ上げます。そのため一度、凍結状態にします。株主名簿などをもとに計算する株式残高などが間違っている状態で市場に出すわけにはいきません。過去の名義書換など全部のデータを照合して問題なければ、引き出すことができるようになります。
――
実際どのくらい凍結されるのでしょうか。
横山
15営業日ほどです。来年1月をめどに電子化される予定ですが、この時期は正月休みもありますから1月下旬まで動かせなくなるとみられています。
――
少し待てば問題ないのでは。
横山
そうとも言えません。担保を渡していた会社が倒産しそうになっている場合、債権請求できない状況になります。また、名義を換えないまま、担保として渡していた時は目も当てられません。電子化前は物を持っていた人が全てで、名義人名が違っていてもなんとかなります。しかし、電子化されれば、株券という物の支配がなくなることになります。しかも、担保として差し出された株券の名義人の名前がそもそも違っているということになれば、完全に無担保状態になってしまうわけです。
――
そもそもの名義人が違うなんていうことがあるのでしょうか。
横山
時々あると聞きます。株券電子化に向けてチェックしていると、名義人としてあがっているその名義について思い当たらないということがあるそうです。すでに株券自体が無効になっていたということもあるようですから、中小、零細企業の方々も早めにチェックして欲しいところです。

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