01年以降、日経平均株価、TOPIXは共に07年2月に高値をつけ、その後、調整局面に入っていますが、新興市場の調整は1年ほど早く始まりました。JASDAQ指数、日経ジャスダック平均、東証マザーズ指数は、揃って06年1月に高値をつけ、08年2月末時点には高値からそれぞれ46.5%、54.5%、75.2%下落しています。新興市場の調整は東証1部よりも長く深いものとなっています。新興市場株ファンドのパフォーマンスは、同市場の調整を反映して、この2年間、厳しいものとなっています。そして、パフォーマンスの悪化と共に人気は離散し、新興市場株ファンドの新規設定本数は減少しています。投資家の関心は、国際債券・国際株式ファンドに移っているようです。
しかし、新興市場株ファンドへの投資を前向きに検討する時期が来ていると考えます。ポイントとしては、(1)株価が大きく調整し、株価指標の面で割安感が強まっていること、(2)東証1部に対して、為替変動に対する抵抗力が強いこと、が挙げられます。
株価指標については、新興市場が高値を記録した06年1月と08年2月の月末データで大きく変化しています。例えばJASDAQ指数について言えば、加重平均予想PERは約6割低下(47.7倍→17.6倍)し、加重平均PBRは5割弱低下(2.7倍→1.4倍)しています。一方、単純平均予想配当利回りは約2倍(1.1%→2.2%)となりました。株価の下落により株価指標の割安感が増しています。
また、新興市場は為替変動に対する抵抗力が相対的に強いと考えられます。08年に入り、為替相場においては円高への動きが顕著となっています。円高が進めば輸出産業の業績見通しが悪化する点が、株式市場では懸念されているようです。東証1部では輸出型産業(輸送機器、電気機器、精密機器、機械の4業種)のウエートが大きく、その時価総額ウエートを3月5日終値ベースで計算すると29%となります。一方、ジャスダックでは15%、マザーズでは5%、ヘラクレスでは3%となっています。新興市場では輸出型製造業の比重は低く、輸出採算の重要度は限定的と言えます。
次は新興市場株ファンドへ投資する場合ですが、投資手法としてはドルコスト平均法(積立投資)による投資を薦めたいと思います。ドルコスト平均法とは、定期的に一定額ずつ投資する方法です。相場の良いときは口数を少なく、悪いときには口数を多く購入することになり、平均購入単価を下げるメリットがあります。投資においてリスクを抑制する方法としては、銘柄分散と時間分散が代表的な方法です。ファンドに投資することで銘柄分散は行われます。そして、ドルコスト平均法による投資を行うことで、時間分散も図られるわけです。
モーニングスターのカテゴリー分類で国内小型株ファンドは08年2月末で103本あります。そのうち、組入れ上位10銘柄に新興3市場銘柄が7銘柄以上入っているファンドは9本、全てが新興3市場銘柄であるのは3本(JF 店頭株オープン'96、ブラックロック・ジャスダック・オープン、ジャスダック・フォーミュラ・オープン:図表1参照)と限られています。新興市場の反転を狙うのであれば、新興3市場銘柄を多く組入れているファンドに注目すべきだと考えます。
過去8年間(投資期間96ヵ月:00年2月末〜08年1月末)において、ブラックロック・ジャスダック・オープンに対して毎月末10万円ずつ96ヵ月ドルコスト平均法で投資した場合と、00年2月末に960万円一括投資した場合の損益率を比べてみます。同ファンドはパフォーマンスが良く、同期間においてJASDAQ 指数は48%下落していますが、どちらの投資方法においても08年2月末時点ではプラスとなっています。ただし、一括投資の場合、一時期、損益率が▲39%(03年2月末時点)まで悪化した時期がありました。これに対してドルコスト平均法で投資した場合、損益率は最悪期においても▲6%でとどまっています。ドルコスト平均法による投資の方がリスクは抑制されているようです(図表2参照)。
過去2年の冴えないパフォーマンスから新興市場株ファンドに強いリスクを感じる投資家も多いようです。しかし、時間分散を利用した新興市場株ファンドへの投資を前向きに検討する時期が来ていると考えています。
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(図表1) 新興株ファンドの推移 (97年1月末〜08年2月末)
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(図表2) ドルコスト平均法の損益状況 (損益算出期間:00年2月末〜08年2月末)
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