過去1年間の金融市場は波乱の展開となった。世界的な金融収縮懸念から、株式や米国ドル市場からは資金が流出し、逃避資金は商品市況へ流入した。
こうした状況の中、モーニングスターが評価対象としている追加型投資信託2600本について、過去1年間のトータルリターンのランキング(7月末現在、カテゴリーが未確定のファンドを除く)をみると、トップ10位中5本をコモディティ型が、3本をブル・ベア型が占めた。上位のファンドは、対象市場からの恩恵が大きかったとの見方もできる。一方、今後の市場動向については様々な見方がある。また、高パフォーマンスのファンドが、必ずしも効率のよい運用を行っているとは限らない点にも注意すべきであろう。
《重要なリスクとリターンの関係》
そうした意味では「シャープレシオ」にも注目したい。シャープレシオは、トータルリターンから短期金利(コール)を引いた数値をリスク(標準偏差)で割って求める。リスクに見合ったリターンを得ているかを表す指標で、一般的には数値の大きい方が運用の効率性が高い。
過去1年間のシャープレシオのランキングはトータルリターンのそれとは異なり、グローバル債券型、物価連動型などが混在した。双方でトップ10入りしたのは第3位の「(日本トレンドS) リバース・トレンド」のみ。当ファンドは国内株式市場全体の値動きとおおむね反対の投資成果を目指している。
トップの「(ターゲットF)シュローダー・アジア債券A」は、為替ヘッジをしてアジア14カ国(日本を除く)の債券に投資する。高利回りと円高傾向が高パフォーマンスにつながった。第2位の「DL 世界債券オープン」は、世界の高格付け債券に投資する。流動性とクレジットリスクに留意した運用に強みがある。
なお、物価連動型は個人や事業法人が直接投資できない物価連動国債を、ファンドを経由することで投資を可能にした商品で、インフレヘッジとして注目される。ただしファンドごとに購入方法や申し込み単位などが異なる点には注意したい。
個別ファンドのシャープレシオは、モーニングスターのホームページで見ることができる。ファンドを評価する際には、リターンとリスクの関係を計るシャープレシオにも注目すべきであろう。
| 順位 | ファンド名 | 委託会社 | モーニングスターカテゴリー | トータルリターン(%) | 標準偏差(%) | シャープレシオ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | (ターゲットF)シュローダー・アジア債券A | シュロータ゛ー | 国際債券型(H) | 3.62 | 2.44 | 1.28 |
| 2 | DL 世界債券オープン | DIAM | 国際債券型(F) | 3.88 | 2.96 | 1.15 |
| 3 | (日本トレンドS) リバース・トレンド | 日興 | 株式ベア型 | 28.31 | 25.29 | 1.10 |
| 4 | 日本株コアα | 日興 | 国内ハイブリッド・ニュートラル | 5.26 | 4.51 | 1.06 |
| 5 | シュローダー 月果美人 | シュロータ゛ー | 国際債券型(F) | 4.49 | 3.80 | 1.05 |
| 6 | ターゲット・F シュローダー拡大欧州債券B | シュロータ゛ー | 国際債券型(F) | 10.00 | 9.24 | 1.03 |
| 7 | 東京海上セレクション・物価連動国債 | 東京海上 | 国内債券型 | 3.67 | 3.09 | 1.03 |
| 8 | 物価連動国債ファンド(3カ月決算型) | みずほ | 国内債券型 | 3.61 | 3.03 | 1.03 |
| 9 | 日本物価連動国債ファンド(ラップ向け) | 東京海上 | 国内債券型 | 3.62 | 3.09 | 1.01 |
| 10 | ターゲット・F シュローダー拡大欧州債券A | シュロータ゛ー | 国際債券型(H) | 2.83 | 2.31 | 1.01 |
| 11 | MHAM 物価連動国債ファンド | みずほ | 国内債券型 | 3.52 | 3.06 | 0.99 |
| 12 | DCダイワ 物価連動国債ファンド | 大和 | 国内債券型 | 3.50 | 3.07 | 0.98 |
| 13 | グローバル・コモディティ・オープン(毎月) | 野村 | 国際債券型(F) | 34.74 | 35.11 | 0.98 |
| 14 | 東京海上・物価連動国債ファンド | 東京海上 | 国内債券型 | 3.42 | 3.08 | 0.95 |
| 15 | ラッセル 世界債券ファンドI | ラッセル | 国際債券型(F) | 4.59 | 4.37 | 0.94 |