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■約1万社の景気実感

 Q そろそろ日銀短観が公表されるんだってね。そもそも日銀短観ってどういうものなの?

 A 日本銀行が3、6、9、12月の3カ月に1度まとめる景気統計のことだ。正式には企業短期経済観測調査という。全国の企業に、いまの景気の状況がどうなっているかなどを聞くんだ。次回、12月調査は16日に公表される。

 Q 具体的には何を聞いているの?

 A 景気の状況をどうみているかという「業況判断」について、「良い」「さほど良くない」「悪い」の三つから選択させる「判断調査」と、売上高や雇用者数などを聞いた「計数調査」で構成されている。「業況判断」は、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数(DI)を出す。プラスなら景気が良くなっていることを示している。なかでも指標となる大企業・製造業のDIは、景気判断のものさしとして、株式や為替など金融市場への影響も大きいんだ。

 Q ほかにも景気の調査はあるのよね。なぜ短観の内容が注目されているの?

 A 調査対象が約1万社と多く、回答率も高いので、景気の現状を正確に知ることができるといわれる。前回9月調査は1万548社を対象にして、99・3%の回答率だった。内訳は製造業4232社、非製造業6316社。大企業(資本金10億円以上)が2290社、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が2882社、中小企業(同2千万円以上1億円未満)5376社。金融機関は対象には含まれないけれど、短観の内容を補完する目的で同様の調査を実施しているんだ。

■4四半期連続の改善?

 Q アベノミクス効果で、短観の内容もよくなっているのかな。

 A そうだね。前回9月調査では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス12で、6月のプラス4から8ポイント改善した。3四半期(9カ月)連続の改善で、2008年秋のリーマン・ショック後では、最も高い水準だった。

 昨年末からの円安や株高で消費が増え、企業の業績も改善している。ただ、7~9月期の経済成長率の伸びは、4~6月期より縮小するなど、景気の回復基調には一服感も出ている。12月調査で4四半期連続の改善となるかどうかが注目されている。

 Q DIはいつごろが最も高かったの?

 A 大企業・製造業のDIが最も高かったのは、バブル景気さなかの1989年5月(当時は2、5、8、11月に調査)で、プラス53だった。一方、最も落ち込んだのは2008年秋のリーマン・ショック後だ。09年3月調査ではマイナス58となった。

 Q リーマン・ショック後は、少し遅れて悪化したんだね。

 A ショックの直後よりも、企業の経営者が「このショックが実際に収益に影響しそうだ」と判断したときに、大きくDIが動く特徴があるからなんだ。

 Q 大企業だけでなく、中小企業はどうなの?

 A 9月短観では、中小企業のDIは、製造業がマイナス9、非製造業がマイナス1だった。大企業に比べて中小企業の景況感の回復は遅れがちだ。しかし今回の12月調査では、中小企業の非製造業のDIが約21年ぶりにプラスになる可能性がある。景気回復が中小企業にも及んでいるかどうかも注目点なんだ。

■金融政策の判断材料に

 Q なぜ日銀が企業の動向を調査しているの?

 A 金融政策の判断材料にするためだ。日銀は景気や物価の動向を見極めて、市場の金利が上がったり下がったりするように誘導する金融政策を決めている。景気に敏感な企業の見方を把握することは欠かせない作業なんだ。

 Q 日銀のやっている調査は短観だけなの?

 A 「さくらリポート」と呼ばれる、地域経済報告も景気を知るための調査のひとつだ。日銀の各地の支店などが企業に景気の現状をきいて、3カ月に1度の支店長会議で報告した内容をまとめたものだ。全国9地域の景気が上向いているのか、横ばいか、下向きかを矢印で示している。

 Q 企業以外にも調査はしないのかな。

 A 一般の人々を対象とした調査もしている。20歳以上の4千人を対象に年に4回実施している「生活意識に関するアンケート」は、人々の生活実感を知ることが目的だ。「景気がよくなっているか」や「物価が上がっているか」など、暮らし向きをきく質問項目が並んでいる。

 注目されるのは、物価への見方だ。日銀は「物価上昇率2%」を目標にして大量のお金を市場に流す金融緩和をしている。1月公表のアンケートでは、1年後の物価が「変わらない」「下がる」という回答が45・7%だったけど、10月は、「かなり上がる」「少し上がる」が83%だった。4月からの過去最大の金融緩和の効果もあるんだろうけど、物価上昇は円安による輸入原材料の影響も大きい。物価が暮らし向きにどう影響するか、このアンケートの結果も今後注目されるね。(この項は高田寛が担当しました)