「国債累増が招く財政破綻(はたん)を回避するには、ハイパーインフレか、あるいは国民の預金を封鎖して高率の財産税をかけるしかないのではないか?」。ビジネスマン向けの講演を行っていると、そのような質問に出あうことがよくある。
確かに野放図な政策が行われれば、カタストロフィは避けられない。しかし、あっさりと絶望する前に、本書で中世イタリアから始まる国家の借金の歴史を学んでみてはいかがだろうか。著者たちは「政府の資金調達の中心である国債管理問題が、国の趨勢(すうせい)を決定するほどインパクトのあるテーマである」と主張している。
英国の政府債務残高は、米独立戦争、対仏戦争を経て1819年になんと対GDP(国内総生産)比で337%に達した。現在の日本ですら150%強だから凄(すさ)まじい借金だ。それでも当時破滅的な金利上昇が生じなかったのは、英政府が流動性の高い国債市場の整備に努め、投資家の声に真摯(しんし)に耳を傾けて信頼をつなぎ留めたことが大きく寄与したという。
また、日本銀行の金融政策と国債の間に存在する微妙な緊張関係、98年に長期金利を急騰させた「運用部ショック」、その衝撃が財務省の近年の国債管理政策改革につながったこと等々、重要な論点が丁寧に解説されている。
市場関係者以外にも広く読んでもらいたい好著である。 |