営利目的でない会社も作れるのか?――。来年5月に施行予定の会社法が、法律専門家の間に憶測を呼んでいる。商法では「会社は営利目的」という条文があるが、会社法で消えたからだ。医療・教育など「営利」になじみにくい分野を株式会社に開放する布石か、との見方もある。
6月末に成立した新会社法は、現在の商法第2編、有限会社法、商法特例法を一本化して内容を一新した。一部を除き06年5月に施行される。
現行の商法や有限会社法は、会社は営利を目的とすると定めている。このため、例えば利益の8割を第三者に寄付すると定款で定めても、無効だと考えられるという。営利法人なのに、利益の大半を寄付するのは法の趣旨に反するわけだ。
ところが会社法には同様の規定がない。代わりに105条で、配当を受ける権利や財産の分配を受け取る権利を株主からすべて奪う定款は無効だとした。利益の一部配当や残余財産を受け取れることを保証すれば、大部分の利益を寄付しても違法ではない。
実際、ドイツには「非営利有限会社」があり、会社が営利目的に限らない例もある。株式会社の参入が議論されている医療・教育分野も「営利」という言葉にアレルギーが強い。営利目的の規定がなければ、抵抗感が薄まる可能性もある。
法務省民事局幹部は「事業を行うのに最も安定した組織が会社。社会貢献のために会社制度を使うことも考えられる」として、会社法施行で“会社”の姿が変わる可能性を認める。
法制審議会会社法部会の部会長で、会社法の骨格をまとめた江頭憲治郎・東大教授も「会社に対するニーズは多様。新しい会社法もいろいろな読み方ができる」と話している
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