●裁量労働制は雇用者の都合で導入できない
法定労働時間である1日8時間・週40時間を超えて労働者を働かせることを残業といい、この場合には割増賃金(いわゆる残業代)を払わなければなりません。これを支払わないこと、いわゆるサービス残業は違法な行為なのです。
裁量労働制とは、その性質上業務遂行の方法や手段、時間配分について、使用者からああしろこうしろと具体的な指示や監督を受けない労働形態です。実際に働いた時間がどれだけであっても、所定労働時間の労働をしたものとしてみなされます。これを「みなし労働時間」といいます。
つまり、実際には1日に6時間しか働いていない場合でも、逆に10時間働いた場合でも、あらかじめ定めたみなし労働時間が8時間であれば、8時間働いたことになるのです。
1日10時間働いていれば、実際には法定労働時間を2時間超えたことになるはずです。
しかし、裁量労働制が採られ、みなし労働時間が8時間と定められていれば、8時間しか働いたことにならず、残業代が発生しないことになってしまいます。そのため、裁量労働制は残業隠しの隠れ蓑として利用される恐れもあるのです。
裁量労働制を定めるときは、労使協定の締結や、労使委員会の設立など、労働者が参加する一定の手続きを経て、労働基準監督署長へ届出をすることが要求されています。使用者側の言いなりになるのではなく、制度の導入時点での慎重な話し合いが必要です。 |