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情報BOX:米金融規制改革案のポイント

2009年6月16日15時35分

 [15日 ロイター] オバマ米政権と民主党は、金融危機再発防止のため、金融規制強化に取り組んでおり、包括的な改革案は6月17日にも公表される見通し。

 改革案のポイントは以下の通り。 

 <システミックリスクの監督> 

 オバマ政権は、連邦準備理事会(FRB)をシステミックリスクの監視機関とすることを検討している。現在、システミックリスクの監視を正式な任務とする単独の機関は存在しない。また広範囲にわたる政策協調を実現するため、省庁横断型組織をつくることも検討されている。

 <資本および流動性に関する規制>

 危機下でも損失を十分補てんできるよう、金融機関には自己資本の増強や流動性強化を義務付ける方向で、特に「大規模かつ、他の金融機関とも深く関連し市場への影響力が大きい企業に関しては、さらに厳格な基準を適応する」見通し。

 欧州連合(EU)も同様の規制を検討しており、国際的に幅広く導入される公算がある。

 <証券化>

 オバマ政権は、資産担保証券の発行元に対し、新たに報告義務を課すことを提案しているほか、証券化商品を取り扱うオリジネーターやスポンサー、証券会社に対して、証券化商品の少なくとも5%のパフォーマンスリスクを保持するよう義務付ける方針。

 影響を受ける可能性がある企業は、米シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、JPモルガン・チェース

 <格付け会社>

 今回の改革案では、投資家や規制当局の格付け会社への依存度が低下する見通し。米証券取引委員会(SEC)は、格付け会社で起こりうる利害の対立の解決に向け、改革案の検討にすでに着手している。ただ、実施は数カ月先になる公算が大きい。

 影響を受ける可能性がある企業は、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングス

 <消費者・投資家向け保護>

 オバマ政権は「消費者および投資家保護に向けた枠組み作りの強化」を規制改革の骨子に据えている。

 一般的な消費者保護を目的としている米消費者製品安全委員会に倣い、住宅ローンやクレジットカードなどの金融商品に特化した消費者保護機関として金融商品安全委員会の設立案が議会にすでに提出されている。

 <店頭デリバティブ>

 店頭デリバティブの監督が盛り込まれるほか、詳細は明らかになっていないが、先物と証券に対する「調和の取れた」規制、支払いや決済システムのセーフガード強化も盛り込まれる公算。

 また政府はデリバティブ取引の透明性を高めるため、取引所や中央決済機関(クリアリングハウス)を通じた取引を増やし、ディーラーの監督を強化したい考え。

 店頭デリバティブ規制の行方は、「カスタマイズ(顧客仕様)化」から「標準化」へ、取引所を通じて中央決済機関での決済へ、といった情報開示の徹底に向けた新たな流れが軸となる見通し。

 影響を受ける可能性がある企業は、JPモルガン・チェース、バンカメ、シティ、ゴールドマン・サックス、CMEグループ、インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)  

 <金融機関の破たん処理権限>

 米政府は「破たんした場合、金融システム全体の安定性を脅かすような金融持ち株会社に対し、秩序ある破たん処理を行う」ことを目指し、新たな措置を検討している。破たん処理権限法案の草案はすでに提案されており、米連邦預金保険公社(FDIC)がその任務にあたる見通し。

 共和党は、連邦破産法に新たな条項を加えるとの対抗案を検討している。 

 <報酬制限>

 米当局は、金融機関の過度なリスクテイクを防ぐため、報酬体系の改革を義務づける措置を検討しており、今回の改革案にも盛り込まれる見通し。政府は6月10日に、「異例の」政府支援を受ける米企業の幹部報酬を監視するため、特別監督官にケネス・ファインバーグ氏を任命した。また米政府は、報酬決定に関して、株主の意見をより尊重するよう要請している。

  <銀行規制>

 オバマ政権は、銀行全体を監督する単独の規制当局の設立を検討していたが、現行の4つの銀行監督当局を合併するにあたり、政治的な問題に直面、単独機関の設立案は後退している。

 財務省傘下の貯蓄機関監督庁(OTS)と通貨監督庁(OCC)が統合される可能性がある、と指摘する議員もいる。

 その他、FRBの一部とFDICの銀行監督部門を統合させ、新たな当局機関として設立する案もある。

 <ヘッジファンド、プライベートエクイティー規制>

 議会には、ヘッジファンドに対し証券取引委員会(SEC)への登録を義務づける法案が複数提出されている。

 財務省は、運用資産が一定額を超えるヘッジファンド、プライベートエクイティーファンド、ベンチャーキャピタルファンドのアドバイザーをSECに登録させることが望ましいとの見解を示している。

 この規制の影響を受ける可能性があるのは、ブリッジウォーター・アソシエーツ、D・E・ショー・グループ、ファラロン・キャピタル・マネジメント、シタデル・インベストメント・グループ、フォートレス・インベストメント・グループなど多数。

 <空売り> 

 SECは、大口の空売りポジションをとった場合にSECへの報告を義務づける暫定ルールについて、近く最終決定を下す。一般への情報開示を義務づけるかどうかは不明。

 SECは、アップティックルール(直近の取引価格がその直前の価格を上回っている場合にのみ空売りを認める規定)の復活など、空売り規制の導入も検討している。

 <学生ローン>

 オバマ大統領は2010年の予算案で、政府保証付きの学生ローン制度を廃止し、大半を教育省による直接ローンに移行する案を提示。現在、この提案は議会で検討されている。

 影響を受ける可能性がある企業は、SLMコーポレーション(通称サリー・メイ)、スチューデント・ローン・コープ(SLC)、JPモルガン、バンカメ、ITTエデュケーショナル・サービシズ、コリンシアン・カレッジズ

 <保険会社>

 米政府および議会は、保険業界の監督体制に関して変更を検討している。ただ、現在の州ベースの監督システムに加え、連邦政府の規制当局を新たに設立することに関しては、業界内でも意見が分かれており、早期に変更が実施される公算は小さい。

 影響を受ける可能性がある企業は、オールステート、トラベラーズ、ハートフォード・ファイナンシャル、メットライフ、プルデンシャル・ファイナンシャル

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