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国内株の頼みは円安と中国か、短観は無難に通過

2009年7月1日13時55分

 [東京 1日 ロイター] 日本経済の底打ちの強さを見る上で注目されていた日銀短観は総じて事前の市場のイメージとかい離はなく、取引材料にはなりにくかった。

 株式市場では短観をきっかけに上昇シナリオを期待する参加者もいたが、この日はむしろ、為替市場で進んだ円安や中国の経済指標が好感された。やはり日経平均で1万円の水準では国内の事業法人からの売り圧力が高まるという。

 <見方割れる海外勢のスタンス>

 株式市場では日経平均が小幅続伸。前日の米国株安を受けて主力株に売りが先行したものの、先物にまとまった買いが入ったことをきっかけに下げ渋った。「円安方向に進んだ為替をにらみながら短期筋が買いを入れたようだ。現物市場の商いは乏しく、日経平均1万円前後では国内法人等の戻り売りも多い。上値には圧迫感がある」(大手証券エクイティ部)との声が出ている。

 寄り前に発表された6月日銀短観は、大企業製造業・業況判断指数(DI)が市場予想を下回ったが、特段の悪材料にはならなかった。三菱UFJ投信戦略運用部副部長の宮崎高志氏は「もともとそれほど強い景気回復ではないとみていたので違和感はない。緩やかながらもモメンタムは依然として景気回復方向にあり、財政支出効果などで今後のマクロ指標は改善を示す傾向が強くなる」と指摘。「シクリカルな景気回復傾向が強くなる場面では、世界の景気敏感株的な位置付けの日本株を放置しておくことはできない。アジア株の中での出遅れ感もある」とし、今後は海外投資家の買いが期待できるとみている。

 こうした中、中国への期待感が相場を下支えた、との声も聞かれた。日本時間の午前に発表された6月の中国の購買担当者指数(PMI)は53.2となり、5月の53.1から上昇した。景気判断の分かれ目である50を4カ月連続で上回った。

 もっとも、今後のマクロ指標の焦点は需要動向であり、米個人消費が鍵を握るとの見方は多い。実際、この日は円安にもかかわらず、トヨタ自動車<7203.T>、キヤノン<7751.T>などの代表的な輸出株が売られた。「30日発表の米消費者信頼感指数が予想外に低下したことが嫌気されている」(準大手証券)という。

 インベストラスト代表の福永博之氏は日本株の見通しについて「上昇基調にあり、売り手の買い戻しも継続している状態に変わりはないが、企業業績、政治ともに実力の確認段階に入ってくるので、失望感が出れば海外投資家のアジア株ポートフォリオで日本株のウエートが引き下げられる可能性もある」と話している。

 <モデル系ファンドが円売り>

 為替市場でドル/円は上昇。96円前半から一時は97円まで上値を伸ばした。日銀短観への反応は限定的にとどまったが、その後、モデル系ファンドがユーロ/円を中心にドル/円にも買いを入れたという。ドルは95.50─60円付近にあったストップロスをつけて上げが加速した。仲値前後で英ポンド/ドルで大量のドル買いが出たこともドル/円を支援した。

 米オラクルが大規模な債券発行を発表したことがきっかけになったというが、市場では「97円台にはストップロスが散見されるため、再び上値をトライできるかだ。97.20─30円を抜けると上値余地が広がりそうだ」(国内証券)との声が出ている。

 米サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁は、米景気後退(リセッション)は2009年末までに終了する可能性が高いが、失業率が高止まりすることから、回復のペースは非常に遅くなるとの見方を示した。「これまでの見解と変わらず、新鮮味はない」(国内金融機関)との声が聞かれた。

 日銀短観については、方向としてはやや円売りの材料との見方が出ていた。「日銀短観は思ったより悪かった。足元景気の弱さが見て取れる。09年度大企業・全産業の設備投資計画も前年度比マイナス9.4と、厳しさがうかがわれる。円にとっては小幅な売り要因」(住友信託銀行マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏)という。

 <反動安でも底堅く>

 円債市場は反落。前日の米債市場の流れを受け、売りが先行した。10年利付国債の入札をあすに控えており、事前調整の売りも出やすい。10年債長期国債利回り(長期金利)は一時、前日比2ベーシスポイント(bp)高い1.370%に上昇した。ただ、金利が上昇すれば国内勢の買いが入り相場が下げ渋るなど、全体として底堅さは維持している。

 国内証券筋は「前日は月末要因で相場が大きく上昇し、長期金利も1.3%半ばまで低下。ともすると10年1.3%クーポンも視野に入る水準まできていた。10年債入札を前にさすがに調整が入りやすい」という。

 あすの入札について、同筋は「警戒感は残るものの以前のような危惧はなくなっている。長期金利が1.5%台まで上昇した後の買い意欲が強く、金利が上昇すれば買いたい向きはたくさんいる、という流れが確認された」と話している。

 日銀短観に関しては、予想通り、景気回復の足取りは鈍いとの見方が再確認された形となり、マーケットへの大きな影響は見られなかった。

 ただ、大和住銀投信投資顧問・債券ストラテジスト、奥原健夫氏は、最大の懸念材料は大企業製造業を中心にした設備投資計画の下方修正だといい、「政府が打ち出した景気対策は現段階で局所的で波及効果が限られているとの判断ができる。経済のけん引役不在の中、7─9月にも景気の二番底が到来する可能性がある」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集 山川 薫)

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