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終わりの見えぬリーマン残務処理、顧客資産もいまだ凍結

2009年9月11日19時25分

 [ロンドン/ニューヨーク 8日 ロイター] ニューヨークのタイムライフビル。リーマン・ブラザーズ本社があったタイムズスクエアにほど近い場所で、600人に上るスタッフが膨大な資料のヤマと格闘を続けている。

 リーマンが約1年前の9月15日に連邦破産法の適用を申請し、世界的な金融危機の引き金を引いて以来、残ったリーマンのスタッフや外部のコンサルタントが、複雑に絡み合ったデリバティブや不動産など無数の契約を解き明かすべく、今なお終わりの見えない作業に取り組んでいる。

 リーマン破綻から1年経った今も、顧客やカウンターパーティーなどの資産は凍結され、資産や債権の返還請求も受け付けられずにいる。

 残務処理に取り組んでいるスタッフらは、債権者の資産価値を最大化すべく、少なくとも彼らに自分たちの資産がどの程度の価値がつくかを示すべく、懸命の努力を続けている。

 欧州におけるリーマンの共同管財人を務めるプライスウォーターハウスクーパーズのビジネス・リカバリー・サービス部門の責任者トニー・ロマス氏は、リーマンの複雑な資産や債務の関係は口では説明できないとした上で、「6000件余りあるリーマンの顧客ファンドのうち、半分以上の投資家から自分の資産がどれだけあるか申告されていない。債権者に配分できる資産は90億ドル近くあるかもしれないが、それをどれだけの債権者に渡す必要があるのかを把握しなければならない」と語る。

 状況はニューヨークでも同じことだ。リーマンのデリバティブ契約を通じて債権を保有する投資家は今のところ返還請求を行うことができず、来月になっても債権に関する追加情報は得られそうにない。

 リーマンの事業が日本からケイマン諸島に至るまで16カ国に渡り、破産手続きが世界中の76カ所で行われていることも問題を複雑にしている。

 リーマン本体が破産申請した後、4000に上る関連会社の一部も破綻しているため、リーマンが破産処理を完結させるためには、各地の司法管轄の間で複雑な債務関係を整理したり、債権額をいつの時点で計算するかなど、数多くの問題を解決する必要がある。

 <上向き始めた債権価格>

 ロマス氏のカウンターパートとして債務関係の整理に当たっているコンサルタント会社アルバレス&マーサルのアン・ケアンズ氏によると、同社は2010年末までに、リーマンの債務処理作業の大半を終えたいと考えている。

 リーマンの資産は1年前に比べ大幅に増加している。アルバレスによると、破綻時点ではわずか35億ドルの現金しか保有していなかったのに対し、今年6月末時点では120億ドルを上回る水準まで回復した。ローンポートフォリオの時価も回復している。

 債権者の間にも、債権回収の成果を上げるため組織を作ろうとする動きが出ている。ポールソン、エリオット・マネジメント、キングストリート・キャピタル・マネジメントなどの投資ファンドは「リーマン・ブラザーズ債権者グループ」を結成し、6月以降、リーマンに対する125億ドルに上る債権請求額を集めた。

 破綻会社の債権者向けに債権を取引する市場を運営しているセカンドマーケット社によると、リーマンに対する債権の市場価格は最近になって急上昇。リーマンの持ち株会社が破綻した際には額面の10%でしか取引されなかった債権は、現在では20%近い水準で取引されている。

 セカンドマーケットによると、リーマンのデリバティブの多くを保有するリーマン・ブラザーズ・スペシャル・ファイナンシングや、リーマンの商品取引契約の多くを保有するリーマン・ブラザーズ・コモディティ・サービシスの債権価格も、額面の40%前後で推移している。

 だが、欧州ではリーマンの顧客ファンドの多くが複雑な商品を含んでいるため、ほとんど価値がないとみなされているものも多い。

 

 <リーマン破綻処理が1つの産業に>

 ロマス氏は先月、英サンデー・タイムズ紙に対し、リーマン処理は「それ自体で1つの産業」になるとコメントし、全世界で破綻処理に関わる2000人のスタッフに支払われる手数料が40億ドルを上回ると明らかにした。

 ロマス氏やケアンズ氏によると、規制当局は「第2のリーマン」が現れるのを防ぐ手段を編み出すため、リーマンの破綻処理を見守っている。

 その一つとして検討されているのは、銀行に破綻した場合の処理を記した「生前遺言」の提出を義務づける案だという。

 しかし、リーマンや元従業員にとってそれ以上の関心事は、リーマンを破綻に追い込んだ「犯人」を特定できるかどうかという点だ。

 裁判所から審査官として指名されたアントン・バルカス氏は、数多くの銀行やリーマンの元幹部を対象に、誰が嘘をつき、誰が会社運営を誤り、誰が詐欺行為を働いたかを特定する作業を進めている。彼の報告は来年初めにも提出される見込みだ。

 リーマン自身も、決済銀行や預託信託機関、連邦準備理事会(FRB)の行動を提訴できないかどうか調査するグループを結成している。

 リーマン破綻を受けてブローカー部門を17億5000万ドルで取得し、早々に42億ドルの利益を得たバークレイズに対しても、当時の行為が「良心にかなった」ものだったかどうか調査する承認を受けている。

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