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投信残高はリーマン破たん以前に戻らず、個人は依然慎重

2009年9月11日20時5分

 [東京 11日 ロイター] リーマン破たんから1年が経過し、個人投資家マネーの有力な受け皿に成長してきた「投資信託」の残高が、破たん以前の水準を回復していない。

 足元の資金フロー(ETFを除く)は6カ月連続の純流入となっているが、06年から07年にかけて毎月1兆円を超える資金が流入していた当時とは投資環境も様変わり。「個人マネーは戻りつつあるように見えるが、投資家の気持ちが以前のように投資に向かうには、さらに時間がかかるのではないか」(大手投信)との声もある。

 <投信残高ピークは07年10月、ボトムは09年1月>

 追加型投信の残高は、サブプライム問題の深刻さが表面化して以降、2007年10月をピークにすでに減少トレンドに入っていた。リーマンの破たんからさらに約1年さかのぼった時点だ。

 背景には、サブプライム問題を発端とした株式相場下落と為替要因があった。残高全体のほぼ4分の3が海外資産に投資するファンド(海外証券型ファンド)であるため、為替の影響は無視できない。07年10月から08年8月までに円は対ドルで約6%、対ユーロで約4%、対豪ドルで約13%の円高が進んだ。

 リーマンが破たんした08年9月、米市場の下落を発端として世界の株式市場の大幅下落が始まるが、国内投信市場の残高がボトムとなるのは09年1月。残高はピーク(07年10月)時から約44%減少。リーマン破たん前の08年8月時点との対比では約35%落ち込んだ。足元の09年8月末残高は、戻ってきたもののピーク時から約3割減の状態。リーマン破たん前と比べると、約2割減の水準だ。

 一方、外為市場の動向を見ると、投信残高がボトムとなった09年1月の水準と、ピークだった07年10月時点を比較すると、円は対ドルで約22%、対ユーロで31%、対豪ドルで約47%の円高が進行。世界的な株式相場の下落に、円高進行が拍車をかけて投信残高にマイナス圧力をかけたことがわかる。反対に残高がボトムとなった09年1月から足元の8月までは円安傾向にある。円は対ドルで3%、対ユーロで約16%、対豪ドルで約38%とそれぞれ円安方向に振れた。

 <リーマン破綻後1年の総決算は1兆1875億円の純流入>

 トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーによると、国内追加型株式投資信託(ETFを除く)の純流出入額(設定額から解約額と償還額を引いたもの)は、同社がデータ提供を開始した2003年1月から米リーマン破たん直前の08年8月まで、5年8カ月間にわたって流入超が続いた。

 しかし、リーマン破たんの08年9月以降、09年2月までの6カ月間に計4カ月で資金流出となり、その額は合わせて7758億円に上った。ただ、08年9月から09年8月までの直近1年間をみると、8カ月間は流入超で純流入額は計1兆9633億円。リーマン破たん後1年の総決算としては、1兆1875億円の純流入となった。

 しかし、リーマン破たん前の1年間(07年9月から08年8月まで)の純流入額は計4兆8834億円に達し、07年1─12月の純流入額は14兆4024億円に上っていた。足元の資金動向が6カ月連続で流入超になっているとはいえ、純流入額は1兆8646億円。「数字だけをみるなら回復基調ともとれるが、あくまで推測の域を出ない。地方をまわると個人は生活防衛にまわっている感じをうける」(国内投信)との声もある。

 運用会社で銀行担当の販売支援部隊からは「投資家も販売員もサブプライムでは震度2程度だったが、リーマンショックでは震度6か7の大打撃だったのではないか。残高減のダメージだけでなく、目に見えない心理的な部分への打撃が大きかった」との声もある。銀行経由の投資家が以前のような投資行動に戻るにはかなり時間を要するとの声も出ている。

 足元ではREITファンドやハイ・イールド債券や新興国債券などの高利回り債券に投資し、為替によるヘッジプレミアム(金利差収入)も期待できる高額分配投信が、投信市場をけん引しているが、こうした投信の主な投資家は、大方が証券系の投資家といわれている。銀行経由の投資家のマネーが本格的に再参入してこない限り、リーマン破たん以前の活況に戻るのは難しそうだ。

 (ロイター日本語ニュース 岩崎 成子記者;編集 田巻 一彦)

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