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JR東日本株、東北新幹線の新青森延伸効果は当初限定的

2010年11月25日16時15分

 [東京 25日 ロイター] JR東日本<9020.T>の東北新幹線が12月4日から現在の終着駅である八戸駅から新青森駅まで延伸される。一番列車のチケットが「瞬間蒸発」となるなど話題性は高いものの、株式市場ではこれを材料として取り上げる雰囲気は感じられない。

 当初は収益に大きなインパクトを与えず効果は限定的とみる向きが多い一方、新型車両による「はやぶさ」が3月5日に投入されることで、来期以降に本格的に寄与する要因になるとの見方が出ていた。

 延伸後の一番列車となる新青森発の上りの「はやて」の座席が、発売開始から30秒で売り切れるなど、開業を前に前評判は非常に高くなっている。JR東日本は上半期決算を発表した時点で2011年3月期の業績見通しについて、売上高を2兆5850億円から2兆5880億円に、営業利益を3520億円から3590億円に上方修正したが、これには新青森駅までの延伸の影響を見込んでおらず、収益への上積みがどうなるか注目される状況だ。

 しかし、市場筋のコメントやアナリストのリポートなどから判断する限りでは、現時点でマーケットはこれを大きな材料ととらえている様子はうかがえない。ある準大手証券の情報担当者は「どれだけ需要があるか、既に航空に対して優位にある点を踏まえると、株価にとっては話題先行の材料とみることもできる」と話す。ドイツ証券・アナリストの安藤誠悟氏は「修正された見通しに開業効果は収入、費用とも織り込まれていないが、あっても収支に大きな影響はないだろう」とリポートで指摘している。

 JR東日本の大和田徹常務は「『はやぶさ』を導入して(東京─新青森の)所要時間は3時間10分。これなら航空に対して強気に出ることができる。現在は新幹線と航空の利用比率は7対3だが、延伸後は8対2程度になるのではないか」と上半期決算発表の会見で述べ、スピードによる優位性を強調する。その点も踏まえ「当初は影響は限定的でも『はやぶさ』導入後にキャンペーンを展開し、どれだけ客を呼び込めるかによって、来期以降の収益にインパクトを与える可能性もある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・アナリストの姫野良太氏)といった声もあった。

 一般的に移動手段で「利用者が新幹線か航空のいずれを選ぶ分岐点となる乗車時間は4時間」(姫野氏)という。迎え撃つ航空側は、現在、羽田─青森線を就航しているのは上場廃止となった日本航空。東北新幹線において、全日本空輸<9202.T>との競合が激化するのは新函館駅延伸後となる。全日空では強力なライバルとなる来年3月12日に全線開業の九州新幹線との競合について、これから精査するとしている。

 航空業界にとって、新幹線との競合は東海道新幹線開業以来50年近くの課題で、今後もそれが続くことになるが、これについて全日空の日出間公敬専務は「先行き新幹線の開業で(航空が)相当にダメージを受けると想定されるのは、時間で圧倒されてしまう北陸新幹線の開業。そこではマーケティングのあり方などを考える必要が出てくる」と語っていた。

 他方、新青森駅延伸で攻勢をかける格好となるJR東日本だが、スピードにおける戦いで守勢に立たされている部分もある。東京や横浜などと成田空港で運行する「成田エクスプレス(NEX)」が、都心にある日暮里駅と成田空港駅を最短36分で結ぶ京成電鉄<9009.T>の新型スカイライナーがスカイアクセス開業に伴い導入されたことにより、押され気味となっている状況だ。NEXは東京駅から成田空港駅までの所要時間が50分以上ある。

 京成電鉄では「やはり36分の速さは魅力で、新型ライナーは利用者に評価されている」(宮田弘幸常務)としており、新型導入後の7─9月におけるスカイライナー(通勤用のモーニングライナー、イブニングライナー、従来の京成本線を経由するシティライナーを含む)の利用者は、円高などによる海外旅行者数の堅調も手伝い、前年同期比で18.6%増加となった。JR東日本のNEXも7月以降、前年対比で増収となっているものの、成田国際空港株式会社が10月に公表した調査結果からはJRの劣勢が否めない。 

 同社によると、9月10日に空港内の駅改札口など14カ所で実施した調査で、鉄道を利用した出発旅客3万2176人のうち、京成全体の利用者の割合は59.1%で、比較可能な2007年に実施した際の55.4%から増加した一方、JRの利用客は07年の44.6%から40.9%に低下した。 

 (ロイター日本語ニュース 水野 文也記者)

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