[ワシントン 30日 ロイター] 米議会では現在、所得税減税の失効や強制的な歳出削減が重なるいわゆる「財政の崖」の回避に向けた議論が活発に行われているが、その隠れた争点に遺産税問題がある。
ブッシュ前大統領が10年前に署名した法律により、遺産税の税率は35%に引き下げられた。控除額は500万ドル。つまり、相続資産が500万ドルまでなら実質的には遺産税はかからないということだ。
オバマ米大統領は、税率を45%に引き上げ、控除額を350万ドルに縮小する意向。ブッシュ減税が失効し、議会が放置すれば、来年には、ブッシュ減税以前の税率である55%(控除額100万ドル)に戻る。
遺産税問題では民主党も一枚岩ではない。一般に都市部が選挙区の議員は遺産税引き上げに賛成、農業地帯選出の議員は反対という構図だ。
ニューヨーク州選出のチャールズ・シューマー上院議員は29日、1兆ドル規模の即時の財政赤字削減が盛り込まれた「財政の崖」回避に向けた民主党案について、オバマ大統領が提案している水準まで遺産税の税率を引き上げることを通じた新たな歳入を想定している、と述べた。
一方、モンタナ州選出のマックス・ボーカス上院財政委員長は今週、遺産税の現行水準での維持を望むと述べている。同氏は、遺産税が引き上げられれば、牧場や農地のオーナーが打撃を受けると主張した。
なお、共和党は遺産税について、富める者や成功者に対する「ペナルティー」と位置付けており、遺産税自体の撤廃でおおむね一致している。