写真・図版 6月2日、 米GMの大量リコール問題で、リコールの原因としているエンジン点火装置の不具合で衝突時にエアバッグが作動せず死亡した人数が、GM側が公表している13人を大幅に上回り、少なくとも74人にのぼる可能性があることが、ロイターの調査分析で明らかになった。写真はGM本社。2009年8月撮影(2014年 ロイター/Jeff Kowalsky)

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 [2日 ロイター] - 米大手自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>の大量リコール(回収・無償修理)問題で、リコールの原因としているエンジン点火装置の不具合で衝突時にエアバッグが作動せず死亡した人数が、GM側が公表している13人を大幅に上回り、少なくとも74人にのぼる可能性があることが、ロイターの調査分析で明らかになった。

 しかも、この種の事故の発生率は、GM車が他社より高いことも判明した。

 <事故データベースを検索、死者数は74人に>

 ロイターは、米のFARS(交通事故分析報告システム)のデータベースで、2003─2012年に当局に報告された、エアバッグが作動せず運転席あるいは助手席の人が死亡した正面衝突事故を検索し、リコール対象の「シボレー・コバルト」および「サターン・アイオン」と、競合車種のフォード・モーター<F.N>「フォーカス」、ホンダ<7267.T>「シビック」、トヨタ自動車 <7203.T>「カローラ」と比較してみた。 

 その結果、前方座席の死亡者数は、GMの「シボレー・コバルト」が45人、「サターン・アイオン」が29人で合計74人。フォードの「フォーカス」が44人、ホンダ「シビック」が41人、トヨタ「カローラ」が24人だった。

 <他社の同クラス車種に比べ高い事故率>

 死亡事故の件数は、「シボレー・コバルト」が42件、「サターン・アイオン」28件、「フォーカス」43件、「シビック」39件、「カローラ」24件となった。

 事故件数にさほど大きな隔たりはないが、販売台数は「フォーカス」、「シビック」、「カローラ」の方がはるかに多いため、死亡事故の確率はGM車の方が高くなり、「サターン・アイオン」の死亡事故の確率は「カローラ」のほぼ6倍、「フォーカス」の2倍に上るという結果が出た。

 具体的には、「サターン・アイオン」の死亡事故は10万台当たり5.9台、「シボレー・コバルト」は4.1台。これに対し、フォードの「フォーカス」は2.9台、ホンダ「シビック」1.6台、トヨタ「カローラ」は1.0台だった。

 <米関係当局も「死者数は13人より多い」との見方>

 ロイターは詳細な調査結果をGMと米道路交通安全局(NHTSA)に提出した。GMは、調査結果に関するコメントを差し控えた上で、「当社は、顧客にとって正しいこと、つまりリコール対象車の速やかな回収、訴訟への対応、安全性に関する新たな業界標準の設定に重点を置いている」と回答するにとどめた。

 NHTSAの幹部はロイターに対し「NHTSAは、GMのリコールの原因に関連した最終的な死者数を把握していないが、13人以上の可能性があると信じている」と述べた。 トヨタとホンダはコメントを差し控えた。フォードは「フォーカス」に関するロイターの調査結果に反論する方針を示したが、その具体的な根拠は明らかにしなかった。

 ただ、今回のロイターの調査分析の問題点を指摘する声もある。

 米保険業界が設立した非営利団体、米国道路安全保険協会(IIHS)の調査責任者デビッド・ザビー氏は、「シボレー・コバルト」と「サターン・アイオン」の耐衝撃性が相対的に弱いという分析結果は、2011年のIIHSの調査結果と似ていると述べたものの、ロイターの分析にはいくつかの限界もあると指摘。ロイターの分析は、点火装置の不具合でエアバッグが作動しないケースに似た状況に絞っているが、点火装置の不具合で74人が死亡したとは断言できず、死亡者数を膨らませている恐れがあると述べた。