写真・図版 8月12日、日本の大手自動車メーカーは、政策の遅れでフィリピン事業計画見直しも。写真は5月、日産自動車のインドネシア工場(2014年 ロイター/Beawiharta)

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 [マニラ 21日 ロイター] - フィリピン政府による自動車産業振興策の策定がもたつくなか、日本の大手自動車メーカーは同国からマレーシアやインドネシアといった、東南アジアのなかでもコストがより安い諸国に生産を移転する可能性を示唆している。

 トヨタ自動車<7203.T>と三菱自動車<7211.T>はフィリピンで年間5万台を生産しており、同国の生産から撤退することになれば、1000人以上の雇用と数百万ドルの投資(計画分含む)が失われることになる。

 自動車産業振興策を支持するアキノ大統領の残りの任期は2年を切っており、業界関係者は早急な行動が必要だと指摘する。

 フィリピン自動車部品工業会(MVPMAP)の代表、Ferdinand Raquelsantos氏は、「第3・四半期にこの(振興策)が承認され、年末あるいは来年の第1・四半期までに大統領が署名するということにならなければ、もう何も起こらないと忘れるしかない」との見方を示した。

 政府の原案によると、自動車産業の再生・規模拡大に向けたロードマップ(行程表)には税制優遇策が盛り込まれる見通し。ただ、これまで2年にわたり産業振興に何が最も必要とされているかについて政府と業界では議論が続いている。

 政府はまた、1つの自動車モデル当たりの年間生産台数を4万台に引き上げる場合にのみ税制を優遇するとの提案をしているが、業界筋によると、その要件を満たすことができるのはトヨタだけだ。

 今年の数カ月間の国内販売台数は過去最高水準に達しており、自動車メーカーはロードマップを基に現地生産を増加できるとの期待を示していた。フィリピンでは自動車所有の割合は1000人当たり35人程度と、東南アジアの5大経済大国のなかで最も低い。

 トヨタ・モーター・フィリピンの広報担当者、ロメル・グティエレス氏は、「われわれは政府に対してロードマップの公表を求めている。そうすれば政策の方向性が明らかになり、トヨタのフィリピンでの投資の根拠となる」と述べた。

 「日本の親会社は、タイやマレーシア、インドネシアなど多くの選択肢がある。現在すでに(候補地)探しを行っている」と明らかにし、フィリピンで政策の方向性が不透明なため、「ヴィオス」や「イノバ」の現地生産を継続するかについて議論していると続けた。

 三菱自のフィリピン法人は今年、米フォード・モーターからフィリピンの工場を買収しており、生産能力を3倍以上にする計画だったが、新型車の現地生産を始めるかどうかについてまだ決定していない。

 ミツビシ・モーターズ・フィリピンズの柴田彦三郎社長はロイターに対し、「実行命令がなければ、新型車を発売するかどうかは確信が持てない」と述べた。

 政府当局者らはロードマップを策定の目標時期についてコメントを控えたが、自動車メーカーらは政府との協議を踏まえ、年内の公表が見込まれるとしている。