写真・図版 10月31日、GPIFは資産127兆円の運用指針を見直すと正式発表。国内債券の割合を大幅に引き下げる一方、収益機会を増やすため国内外の株式での投資比率を引き上げる。写真は三谷理事長、2013年6月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

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 [東京 31日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日、資産127兆円の運用指針を見直すと正式発表した。デフレからの脱却を見据え、国内債券の割合を大幅に引き下げる一方、収益機会を増やすため国内外の株式での投資比率を引き上げる。

 三谷隆博理事長は同日夕、都内で記者会見し、運用改革の狙いについて被保険者の利益確保が第一とし、日銀の追加金融緩和と公表が重なったのは「連携ではない」と強調した。

 GPIFが運用指針を見直すのは昨年6月以来、1年4カ月ぶり。

 年金財政の状況や将来のデフレ脱却を見据え、国内債券の割合をいまの60%から35%に引き下げ、国内外の株式を12%から25%にそれぞれ大幅に引き上げる。外国債券も11%から15%に変更した。

 国内債券と国内外の株については一定の範囲で中心値とのかい離を容認する幅も広げ、国債は上下10%、国内株が9%、外国株は8%とし、柔軟な運用ができるようにした。外債は上下4%に狭めた。

 短期資産は資産構成から外した。今後、年金給付への備えとして必要な20兆円程度の資金は、自家運用している財投債や「キャッシュアウト対応」のファンドから得られる満期償還金などでねん出する。

 GPIFが運用を見直すのは安倍晋三首相の強い意向を踏まえてのことだ。今年6月に、年度末をまたずに運用指針を前倒しで見直すよう指示されてからは運用委員会(委員長、米澤康博早大院教授)と、その下に設置された作業班を計13回にわたり開催し、複数の改革案をもとに議論を重ねてきた。

 厚生労働省が31日午後に開催した独法評価委年金部会(部会長、山口修横国大教授)で今回の見直し案を了承。独自にガバナンス体制を強化するなどの案も同時に示し、塩崎恭久厚生労働相の認可にこぎつけた。

 GPIFの三谷理事長は記者会見で、今回のタイミングで運用指針を見直したことについて「デフレから脱却し、緩やかなインフレと経済成長が見込めるようになった」と指摘。「全額国債で運用していたら1%の金利上昇で10兆円の評価損が出る。適度なインフレ状態で経済成長が続けば株価の上昇も見込める」と語った。

 日銀の追加金融緩和と重なったことに関しては、連携しているわけではないと強調。そのうえで「(追加緩和そのものには)本当に驚いた。(見直しと同じ日になったのは)偶然の一致」と述べた。

 運用見直しの発表前に資産配分を行ったかどうかや、今後どのように各資産の中央値をめざすかについては具体的な言及を避けた。