写真・図版 2月6日、国際会計基準を先行導入している大手商社の2014年4―12月期決算が大きな注目を集めている。写真は都内の丸紅前で2012年5月撮影(2015年 ロイター/Yuriko Nakao)

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 [東京 6日 ロイター] - 国際会計基準(IFRS)を先行導入している大手商社の2014年4―12月期決算が、大きな注目を集めている。

 丸紅<8002.T>は、買収した米穀物商社の減損処理を主因に通期業績予想を大幅に下方修正する一方、三菱商事<8058.T>は過去に減損処理した株式の戻し益が発生。日本基準を採用していたら、全く違った業績になったとみられる。IFRS採用のもたらした収益インパクトは、導入を検討する企業の判断に影響を与えそうだ。

 <丸紅ショック>

 最初に市場に衝撃を与えのは、1月26日に発表された丸紅の通期予想の下方修正。「市場も織り込んでいなかったので、衝撃が大きかった」(外資系ファンドマネージャー)との声が出て、「丸紅ショック」として受け取られた。

 丸紅は当期利益予想を従来予想の2200億円から1100億円に大幅に引き下げた。主因の1つになったのが、2013年に27億米ドルで買収した米穀物会社、ガビロン社の「のれん」の500億円に上る減損処理だ。 

 会計の日本基準とIFRSとの違いの一つが、「のれん」の取り扱いだ。企業買収の際、買収価格と買収された企業の時価評価純資産額の差額を表す「のれん」は、日本基準では定期的に分割して償却する。

 一方、IFRSでは償却しない仕組みだ。その代わり、IFRSでは定期的に減損テストを行い、回収可能価格と帳簿価格を比較し、回収可能価格が帳簿価格を下回った場合には一括して減損処理を行う必要がある。

 IFRSでは、買収した企業の状況次第では「突然、減損損失が発生したように見えるリスク」(大手証券アナリスト)があるのが、特徴の一つだと言える。

 6日の丸紅の決算会見では、松村之彦CFO(最高財務責任者)が「一過性の要因」ということばを繰り返し、事業の実態は悪くないことを強調した。

 <三菱商はIFRSがプラスに作用>

 一方、三菱商事の決算では、IFRS導入がプラスに働いたケースも見られた。

 同社は、過年度に減損処理したローソン<2651.T>株の戻し益など合計680億円の戻り益を計上。過去に減損処理しても資産価格が元に戻れば、戻り益が発生するというIFRS特有の会計ルールに基づくものだ。

 <上場企業は会計基準について考え方表明へ>

 金融庁は昨年12月、企業会計審議会で会計部会を立ち上げ、IFRSの任意適用の拡大に向けて議論を始めた。3月期決算企業の年度末の決算発表では、上場企業が会計基準に対する考え方を公表するよう求められている。

 2014年3月期の第1・四半期決算から日本基準をIFRSへと変更した双日<2768.T>の茂木良夫CFOは、5日の決算会見で「(IFRSを採用しているから)のれんの償却はないが、減損は毎年当然あるものと思って期初の予算を策定している」と述べ、会計基準変更に伴う緊張感を吐露した。

 IFRSを他のセクターに先んじて積極採用した商社の決算で、顕在化したIFRS採用のメリットとデメリット。これを他の業態の企業がどのように受け止めるのか、その点が、IFRSを採用する企業の数に表れそうだ。

 

 (和田崇彦 編集:布施太郎)