写真・図版 12月15日、リフレ派として知られる中央大学の浅田統一郎教授は、名目600兆円のGDPを達成するため、物価や成長率を下押しする消費税率10%への引き上げは延期すべきと述べた。都内で2014年12月撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)

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 [東京 15日 ロイター] - リフレ派として知られる中央大学の浅田統一郎教授は、ロイターのインタビューの中で、アベノミクス新3本の矢に掲げられた名目600兆円の国内総生産(GDP)を達成するため、物価や成長率を下押しする消費税率10%への引き上げは延期すべきと述べた。

 昨年4月の8%への増税はいまだに消費を下押しており、日銀は追加緩和に追い込まれるとも指摘した。安倍晋三政権下で日銀法の改正が望ましいとも述べた。

 浅田教授を含めたリフレ派の学識経験者は11月末、安倍晋三首相と意見交換しており、政府の政策立案に一定の影響力を持っているとみられる。

 <安倍政権は増税で逆噴射>

 浅田教授は、アベノミクス「新3本の矢」の1つである名目GDP600兆円目標について「2%の物価上昇率と1.5%の実質成長率を継続すれば達成可能だ」と指摘した。

 ただ、達成には「財政政策と金融政策のフル出動が必要」とし、予定通りに2017年4月に消費税率10%への引き上げを決行すれば「物価上昇率も実質成長率も下押しされる」と懸念を示した。

 安倍政権について「金融緩和というアクセルと増税というブレーキを同時に踏んでおり、飛行機が成層圏に到達する前に逆噴射している格好だ」と懸念する。

 軽減税率は「セカンドベストの案。増税見送りが政治的に不可能な場合はあり得る。しかし、1兆円の軽減税率を実施しても、増税によるマイナスの影響はかなり残るだろう」と述べた。

 <日銀は追加緩和も>

 昨年4月の消費税率8%への引き上げは「いまだに消費に影響を及ぼしている」とし、その対応のために日銀は「年明けにも追加緩和に踏み切る可能性がある」との見通しを示した。

 日銀による巨額の国債買い入れについて、市場や一部日銀審議委員の間で持続性に懸念も出ているが「中央銀行が資金供給の手段として、買い入れることができる資産は、いくらでもある」と指摘した。

 浅田氏は20年間のデフレの背景に、日銀の緩和不足と1997年の消費税率引き上げの影響が存在しているとみている。

 日銀が政府と歩調を合わせた政策運営を行うよう「安倍政権と黒田日銀が存続している間に、日銀法を改正すべき」「誰が総理・総裁になろうと、日銀の義務を法律ではっきりすべきだ」と指摘。

 「日銀は物価目標のみならず雇用の最大化、失業率にもコミットすべきで、政府と協議して目標を定めるのが望ましい」と主張した。

 インタビューは14日行われた。

 

 (竹本能文 編集:田巻一彦)