写真・図版 9月16日、中国国家統計局が発表した8月の鉱工業生産は前年同月比4.4%増と、2002年2月以来、17年半ぶりの低い伸びにとどまった。昨年8月、重慶市の工場で撮影(2019年 ロイター/Damir Sagolj)

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 [北京 16日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した8月の鉱工業生産は前年同月比4.4%増と、2002年2月以来、17年半ぶりの低い伸びにとどまった。小売売上高も前月から伸びが鈍化し、貿易面の逆風や内需低迷による景気の一段の減速を示唆した。

 鉱工業生産の伸びは7月の4.8%から鈍化し、市場予想の5.2%も下回った。

 8月は米中貿易戦争が激化した月だった。その影響が顕著に表れたのが鉱工業品の輸出で、前年比4.3%減と少なくとも2年ぶりの前年割れとなった。

 キャピタル・エコノミクス(シンガポール)の中国エコノミスト、マーティン・リンジ・ラスムセン氏は、「全般に悪化した7月に続き、8月も鉱工業生産、固定資産投資、小売売上高が一段と減速した」とし「当面、力強い回復は見込めず、当局が今後数カ月で一段の金融緩和措置を講じると予想する」と述べた。

 米中は10月初旬に閣僚級の貿易協議を行う予定だが、アナリストの大半は、合意達成はおろか、早期の緊張緩和も期待していない。

 華宝信託(上海)のエコノミスト、ニー・ウェン氏は「例年、8月は輸出業者がクリスマス商品の注文への準備をする月だが、今回の統計は、製造業が米中貿易交渉の行方をあまり楽観しておらず、在庫の積み上げに慎重になっていることを示した」と指摘した。

 

 李克強首相は統計発表前に公表されたインタビューで、中国の経済成長について、ベースラインの高さや複雑な国際情勢を踏まえれば6%以上の成長を維持するのは「非常に難しい」との見解を示した。また、世界経済の減速や保護主義などの台頭により、中国経済は「一定の下方圧力」に直面していると述べた。

 ここ数週間、中国の経済成長率はすでに政府の通年目標(6─6.5%程度)の下限を試している、との見方が一部アナリストから出ている。第2・四半期の成長率は前年比6.2%と約30年ぶりの低成長だった。

 短期金融市場トレーダーは、中国人民銀行(中央銀行)が17日にも中期貸出制度(MLF)金利を引き下げると予想。MLF金利が下がれば、MLF金利に連動する新たな貸出基準金利のローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)も低下する可能性がある。

 一方、統計局報道官は統計発表後の記者会見で、1─8月の中国経済は妥当なレンジ内にあり、通年の成長率目標は達成可能と述べた。

 報道官はまた、サウジアラビアの石油施設が14日に攻撃されたことについて、中国政府は影響を注視していると強調した。

 

 <小売売上、固定資産投資も予想下振れ>

 

 8月の小売売上高は前年比7.5%増。こちらも市場予想の7.9%増や7月の7.6%増を下回った。

 1─8月の固定資産投資は前年比5.5%増。市場予想は5.6%増だった。投資全体の約60%を占める民間固定投資は4.9%増と、1─7月の5.4%増から伸びが減速した。

 明るい材料をもたらしたのが不動産市場。8月の不動産投資は前年同月比10.5%増と、伸びは7月の8.5%から加速し、4月以来の大きさとなった。[nL3N2670WB]

 *統計局報道官のコメントを追加しました。