写真・図版11月28日、通貨オプション市場では、ユーロ/ドルの予想変動率(インプライド・ボラティリティー)が今週、過去最低を更新した。写真は米ドルとユーロの紙幣。2017年6月撮影(2019年 ロイター/Thomas White)

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 [ロンドン 28日 ロイター] - 通貨オプション市場では、ユーロ/ドルの予想変動率(インプライド・ボラティリティー)が今週、過去最低を更新した。年初から鈍い動きが続く外為市場は、年末が迫っても膠着状態を脱する兆しは見せていない。

 予想変動率は近年、世界各国の中央銀行が2009年以降に打ち出した刺激策で金融市場の流動性が高まったことから、歴史的に低い水準で推移してきた。変動率の大きい相場では顧客からのヘッジ需要が高まり、トレーダーの収益機会が増すが、狭い範囲の動きが続けば収益機会は乏しくなる。

 今年は米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切り、他の主要な中銀が緩和策で追随する状況となっており、変動率が回復するとの期待はしぼんだ。

 ノルデア銀行のアナリストによると、ユーロ/ドルの取引レンジは今週、25日に約20ポイントと、20年ぶりの小ささとなった。

 オプション市場の3カ月物インプライド・ボラティリティー<EUR3MO=FN>は過去最低の4.27%となった。1月の7.16%から大幅に低下している。1年物<EUR1YO=FN>もまた、過去最低の5.48%で、年初から2%ポイント低下している。

 市場参加者によると、想定外の相場変動リスクをヘッジする手法として使われることも多いオプション売りの需要が強まった。オプションの売り手は買い手から安定的にプレミアムを受け取ることができる。

 インベステック・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、ジョン・ストップフォード氏は「人々は基本的に利回りを求めている。オプション取引が利回りを確保する一つの手法だ」と指摘した。

 同氏は貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱、香港の抗議活動などを引き合いに出し、政治と経済の先行きを巡る不透明感は強いままだとしたうえで、「これらのイベントに対する保険とされる取引の価格が膠着状態に陥った」と続けた。

 ユーロ/ドルの変動率低下を受け、ドイツ銀行外為ボラティリティー指数<.DBCVIX>は4月に付けた過去最低に近い5.48%に低下した。

 低変動率は変動率のさらなる低下を招く。オプションの買い手は変動率の上昇を見込んでいるわけだが、同時に、スポット市場で相場上昇時は売り、下落時は買うことでオプションの持ち高をヘッジする傾向にある。

 この結果、実際の変動率が低下し、ヘッジ買いの動機が薄れる。BMOキャピタル・マーケッツの為替スラテジスと、スティーブン・ギャロ氏はこれは「抜け出せない悪循環」だと述べた。