写真・図版米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、米国の長短利回り格差はまだ健全な状態には戻っていないものの、連邦準備理事会(FRB)が昨年に実施した3回の利下げの効果を見極めるため、政策を少なくとも1年は現行にとどめることが適切になるとの考えを示した。2018年撮影(2020年 ロイター/Edgar Su)

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 [セントルイス 17日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、米国の長短利回り格差はまだ健全な状態には戻っていないものの、連邦準備理事会(FRB)が昨年に実施した3回の利下げの効果を見極めるため、政策を少なくとも1年は現行にとどめることが適切になるとの考えを示した。

 ブラード総裁は約1年前、米国債利回りの状況を踏まえると市場で米経済に対する信頼感が失われている可能性があると警告。ただロイターが14日に実施したインタビューでは、「FRBは2019年は大幅な利下げを実施した。この結果は20年に顕在化する」とし、「今年上半期、または年間を通して、どの程度の影響が出るか見極めたい」と述べた。 

 その上で「バブルが発生する環境にあるためにFRBが政策を変更する必要があることを示すものは現時点では何もない」と指摘。ただ警戒はしていると述べた。

 FRBは19年は7月、9月、10月に合計3回の利下げを実施。ブラード総裁はより大きな幅の利下げを主張し、連邦公開市場委員会(FOMC)で2回、反対票を投じた。ただFRBは12月のFOMCで全会一致で金利据え置きを決定。政策担当者の間で経済情勢が大幅に変化しない限り金利変更は必要ないとの考えが浸透した。 

 ブラード総裁は19年に特徴的だったこととして、低失業、低インフレ、低金利、金融システムの安定がすべて同時に実現できるとの事実をFRBが完全に受け入れたことが挙げられると指摘。「(19年は)1990年代や2000年代に見られた金利水準には戻らないとの考えが受け入れられた年だった。この方向に向けた努力が打ち切られただけでなく、反対に向かうことになった」と述べた。 

 20年については、通商を巡る先行き不透明性が高い状態に企業が適応したことで予想外に良好な事態が生まれる可能性があると予想。労働市場の引き締まりを受け生産性の向上につながる設備投資が促進されるほか、通商を巡る先行き不透明性が解消すれば、米経済成長は加速しインフレ見通しも改善する可能性があるとの見方を示した。

 ただ、米国債の利回り曲線にはなお留意していると表明。10年債と2年債との利回り格差は現在約25ベーシスポイント(bp)と、経済成長が続いていた1990年代の水準をなお大きく下回っているとし、この格差が少なくとも50bpまで拡大すれば、市場に経済成長とインフレに対する信頼感が出ていることが示唆されるため、より安心できると述べた。

 一方、こうしたことは現時点で追加利下げが必要と主張する理由にはならないとし、「われわれは正しい方向に進んでいる」と述べた。

 ブラード総裁は今年のFOMCで投票権を持っていない。