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 [東京 26日 ロイター] - 日銀の安達誠司審議委員は26日、都内の日銀本店で就任会見に臨み、新型コロナウイルスの感染拡大で「日本経済も世界経済も、極めて不確実性が高い」と指摘。感染症の影響が深刻化して「経済が危機的な状況に陥った場合、金利を動かすよりも流動性を供給していくことが重要になる」と述べ、追加緩和の手段としては、マイナス金利深掘りよりも資産の購入を通じた流動性の供給が重要だと語った。

 安達委員は、マイナス金利について「深掘りする余地はあると思うが、実施するならコロナウイルスの問題が終息して日本経済が再び浮上する時」と述べ、早い段階でのマイナス金利深掘りに消極的な姿勢を示した。

 日銀は長期国債の購入目標を年80兆円に設定しているが、昨年の買い入れ実績は目標を下回った。安達委員は「流動性供給の面ではまだ(上限まで)余裕があるが、(感染状況や経済への影響を)非常に注意深く監視していく必要がある」と述べた。

 <新型コロナの影響、「底打ち全く見えない」>

 新型コロナの感染拡大による実体経済の不確実性について、安達委員は、ITバブル崩壊やリーマン・ショックなどとの違いは「底打ちが全く見えない点だ」と指摘した。「新型コロナ問題で短期的には物価のモメンタムは失われる可能性がある」とも述べた。

 その上で、現在の局面では「景気浮揚より、コロナ感染症拡大の下で持ちこたえることを助ける政策を採るべきだ」と述べた。追加緩和のタイミングとしては「16日の決定会合で設定した(ETFなどの購入)枠を超えて資金を供給しなければならない事態に陥った時」と指摘した。 

 <政策枠組みの議論、日銀が先行なら円高リスク>

 欧米中銀は金融政策の枠組みを見直す議論を進めている。安達委員は「主要国の中銀が2%の物価目標を掲げる中で、日銀だけが1%に引き下げれば中長期的な円高リスクをもたらす可能性がある」と述べた。物価目標については「任期中に達成して出口を模索するのが理想的ではある」とした。

 安達氏は、「量」を重視した緩和政策の必要性を主張してきた。会見では「量を短期的にインパクトを持って拡大するのは、2013年4月のQQE(量的・質的金融緩和)である程度成果が出た」と述べ、黒田東彦総裁の下での政策運営を評価した。

 ただ、コアCPI(消費者物価指数)がプラス圏で推移している現状を踏まえ、「がむしゃらに量を求めて期待インフレ率が上がるか、精緻な分析が必要だ」と述べた。

 外債購入については「為替介入との区別がつきにくく、追加緩和の手段としては考えていない」と話した。 

 *内容を追加しました。

 

 (和田崇彦 編集:内田慎一)