写真・図版日銀は7月14―15日の金融政策決定会合で、国内景気が年末にかけて持ち直すとの基本シナリオを維持する見通しだ。都内の日銀前で5月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

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 和田崇彦 木原麗花

 [東京 6日 ロイター] - 日銀は14―15日の金融政策決定会合で、国内景気が年末にかけて持ち直すとの基本シナリオを維持する見通しだ。複数の関係者が明らかにした。同会合で議論する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、こうした見方を盛り込むとみられる。

 6月調査の日銀短観では、大企業・製造業で足元の業況判断DIが大幅に悪化する半面、先行きは改善する見通しが示された。日銀では、経済活動の再開で消費回復への期待が出ているほか、政府・日銀の一連の対策が景気を下支えするとの見方が出ている。

 ただ、新型コロナの不確実性は引き続き大きい。展望リポートでは、新型コロナの第2波懸念や海外経済の回復の鈍化などから景気の下振れリスクが大きいことを強調する可能性が高い。日銀は感染症や金融市場の動向を注視しながら、追加の政策対応が必要か慎重に検討する方針だ。

 6月調査の日銀短観では、足元の業況判断DIは大企業・製造業、大企業・非製造業とも前回から大幅に悪化したものの、先行きは小幅に改善を見込んでいる。関連産業を多数抱える「自動車」も、足元のDIはマイナス72と2009年6月調査以来の低水準だったものの、先行きDIはマイナス51に改善する見込み。

 日銀内では、緊急事態宣言の解除による経済活動の再開で、景気は6月以降持ち直していくとの見方が出ている。10万円の現金給付を当て込んだ家電販売や、リモートワークの普及によるパソコン関連商品の販売の伸びなど、消費には明るい材料も出てきているとの声も聞かれる。

 短観では資金繰り判断DIが大企業、中堅企業、中小企業でいずれも悪化した。もっとも、大企業、中堅企業では資金繰りが「楽である」が「苦しい」を上回り、DIはプラス圏をキープ。中小企業はマイナス1と13年9月調査以来のマイナス転換となったが、リーマンショック後に比べれば水準は高い。

 リーマンショック後、2008年12月調査の日銀短観では、中小企業の資金繰り判断DIはマイナス15に悪化。中小企業への金融機関の貸出態度判断DIもマイナス9に悪化した。今回の6月短観では、中小企業への貸出態度DIはプラス19で前回比1ポイント改善しており、政府・日銀の中小企業向けの資金繰り支援策の効果が出ているとの見方が日銀内で出ている。

 国際通貨基金(IMF)は6月、世界経済見通しを下方修正したものの、感染第2波の到来をメインシナリオにはしなかった。日銀の展望リポートでも、感染第2波はメインシナリオには織り込まないとみられる。

 ただ、景気の先行き不透明感は依然として強い。日銀では7―9月期以降の景気の戻りに慎重な見方も出ている。新興国に加え、米国でも感染者数が急増しており、展望リポートでは景気の先行きについて下方リスクが厚いことを改めて強調するとみられる。

 *内容を追加しました。

 

 (編集:石田仁志)