写真・図版 3月23日、日銀の布野幸利審議委員は、兵庫県・神戸市内で講演し、現行のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策のもとで量・質・金利のすべての手段を動員して金融緩和を推進する、と語った。写真は都内で昨年7月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

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 [神戸市 23日 ロイター] - 日銀の布野幸利審議委員は23日、兵庫県・神戸市内で講演し、現行のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策(マイナス金利付きQQE)のもとで量・質・金利のすべての手段を動員して金融緩和を推進する、と語った。金融緩和の影響への目配りや、バランスのとれた経済成長を維持することも必要との見解を示した。

 布野委員は「日本経済の将来のためには、長きにわたりデフレが続いてきた中で定着してしまったデフレマインドを払拭する必要がある」と訴えた。

 日銀が掲げる物価2%目標の実現には「なお道半ば」と指摘。金融緩和に伴うさまざまな影響への目配りが必要としながらも、1月に導入を決めたマイナス金利付きQQEの着実な推進が重要との認識を示した。

 そのうえで「物価の上昇とともに賃金も増えていくなど、経済全体がバランスのとれた好循環を維持するなかで、物価目標を達成していく必要がある」とし、今後の金融政策運営について「量・質・金利の3つの次元の緩和手段をすべて動員して、しっかりと金融緩和を推進していきたい」と語った。

 布野委員は経済・物価を見通すうえでの留意点として、雇用所得環境や輸出・設備投資・物価動向に言及。このうち賃金については、先行きも労働需給は改善を続ける可能性が高いとし、「労働需給が引き締まり、予想物価上昇率の高まりが明確になるにつれて、賃金には基調的な上昇圧力がかかっていく」との見方を示した。

 もっとも企業収益が高水準にあり、失業率が3%台前半まで低下していることを踏まえれば「これまでのところ賃金の改善の程度は幾分鈍く、労働分配率も低下傾向を続けている」とし、留意が必要と指摘した。

 また、企業の設備投資スタンスは次第に積極化していくとしながらも、最近の国際金融市場におけるリスク回避行動が「企業マインドひいては企業の設備投資姿勢に与える影響にも十分留意していく必要がある」と語った。

 布野委員は長期的な日本の課題として成長力の強化が重要と強調。ゼロ%台前半ともいわれる日本の潜在成長率を引き上げるには、企業の投資行動や生産性の向上など「企業の努力がまず重要」と指摘。政府による成長戦略の推進に加え、日銀による貸出支援制度などの有効活用により、「成長力強化に向けた取り組みが一層進捗することを強く期待している」とした。

 

 (伊藤純夫)