写真・図版 4月18日、日銀は、4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」において、初めて公表する2021年度の消費者物価(除く生鮮、コアCPI)の前年比上昇率が1%台後半になるとの見通しを示す公算が大きい。写真は日銀本店、2015年5月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

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 [東京 18日 ロイター] - 日銀は、4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」において、初めて公表する2021年度の消費者物価(除く生鮮、コアCPI)の前年比上昇率が1%台後半になるとの見通しを示す公算が大きい。物価安定目標の2%には達しないが、景気の拡大基調が続く中、需給ギャップがプラスで推移することで、2%に向けて徐々に上昇率を高めていく姿となる。複数の関係筋が明らかにした。

 展望リポートは、24─25日に開く金融政策決定会合で議論する。

 中国経済の減速を受けて、3月の金融政策決定会合では、輸出や生産の判断を引き下げた。ただ、その後に発表された日銀短観で内需の堅調さが確認されたほか、中国国家統計局が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)が前年比プラス6.4%となったことなどから、日銀内では「一段と悪くなる状況ではなくなった」(幹部)との声も漏れる。

 黒田東彦総裁も、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席のため訪れたワシントンで11日、世界経済について「今年後半に回復し、来年は十分高い成長が見込まれるというのがメインシナリオ」と言及。3月に日銀が示した年後半に回復に向かうとの認識が国際的にも共有されたかたちだ。

 ただ、世界経済減速を背景に足元の輸出・生産は弱含んでおり、1─3月期の実質国内総生産(GDP)はゼロ%成長も見込まれている。こうした足元の需給の緩みに加え、NTTドコモ<9437.T>が発表した6月からの携帯電話通話料の値下げも、一時的ではるが、若干の物価押し下げ要因に働くとみている。

 一方で、食料品を中心に価格転嫁の動きもみられるなど強弱材料があるなかで、19、20年度のコアCPI見通しは、前回展望リポートにおける同1.1%上昇、同1.5%上昇から大きな変化はない見込みだが、若干の下方修正となる可能性がある。

 今年後半の世界経済回復を前提にその後の経済成長は、潜在成長率並みの同ゼロ%台後半から1%程度を確保するとみられ、プラスの需給ギャップも続く見込み。

 このため物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)は「維持される」(幹部)とし、21年度のコアCPIは1%台後半に上昇率を高める見通しだ。

 物価のモメンタムが維持されるという判断の下、会合では現行の金融政策を粘り強く続けていく方針が確認される見通しだ。

 ただ、英国の欧州連合(EU)離脱問題や米中通商問題など、世界経済を取り巻く不確実性の霧は晴れたわけではない。

 決定会合では、これまで懸念材料としていた中国経済や欧州経済の回復見通しやITサイクルの先行きなども引き続き検討課題となる。特に中国経済については、一段の悪化は避けられたものの、投資を刺激してきたこれまでの対策とは異なる政策対応となっており、その効果の出方や日本への影響などについて議論していくことになる。

 

 (伊藤純夫 清水律子 編集:田巻一彦)