写真・図版 5月22日、設備投資の先行指標である機械受注は、4─6月期見通しが前期比プラス15.7%と1─3月期実績の同マイナス3.2%から急回復した。川崎市の京浜工業地帯で2016年8月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon/File Photo)

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 [東京 22日 ロイター] - 設備投資の先行指標である機械受注は、4─6月期見通しが前期比プラス15.7%と1─3月期実績の同マイナス3.2%から急回復した。しかし、直近で表面化した米中貿易摩擦の激化を織り込んでいない「楽観的」な見通しとの指摘が市場で表面化。強気の設備投資計画が下方修正されるリスクに注目が集まっている。 

 内閣府が22日に発表した3月機械受注統計によると、1─3月期は2期連続で減少。[nL4N22Y00P] 基調判断は4カ月連続で「足踏みがみられる」に据え置かれた。

 3月単月での船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比3.8%増と2カ月連続で増加。ロイターの事前予測調査では0.7%減と予想されていたが、これを上回った。??? 強めの結果に見えるが、下支えしたのは非製造業からの受注で、製造業はマイナス11.4%と2桁の減少だった。中国経済減速と米国による制裁関税の影響などで輸出がさえず、投資に対する様子見姿勢を招いているとみられる。 

 1─3月は輸出との連動性が強い製造業からの受注が前期比7.7%と大幅に落ち込み、昨年7─9月以来3期連続の減少となっている。特に電気機械や情報通信機械、自動車といった主要産業からの受注が落ち込んだ。

 1─3月は国内総生産(GDP)でも輸出がマイナスの伸びとなり、企業の投資に対する様子見のスタンスが機械受注にも反映された可能性がある。他方、非製造業は同0.3%の小幅な落ち込みにとどまり、内需は比較的底堅い。???? この結果について、農林中金総研・主席研究員の南武志氏は「依然として調整色の強い結果だ」と指摘する。   <強気見通しは米中摩擦再燃前、輸出下げ止まり見極め必要>? 今回発表された4─6月の機械受注見通しは、前期比15.7%増と大幅増を見込んでいるとはいえ、調査時点は3月末。その後、5月初めに表面化した米中通商交渉での対立が企業の投資姿勢にどう影響するかは、今回の見通しには反映されていない。 大和証券・チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏は「見通しから下振れるリスクは高いだろう」と指摘する。

 同時に3四半期ぶりに前期比プラスが実現すれば、内需がどんどん悪くなる状況にはならないとみている。22日発表の5月ロイター短観では、製造業・非製造業の業況感は、ともに前月から改善。連休明けの企業マインドが米中摩擦激化の下で急激に悪化した兆候は見えていない。一方、SMBC日興証券・シニアエコノミストの宮前耕也氏は「米中貿易戦争の激化は、短期的には中国経済悪化の影響波及により、日本からアジア向け輸出に下押し圧力が掛かりやすいほか、日本の設備投資の様子見にもつながり得る」とみている。

 さらに関税賦課など保護貿易主義が長期化すれば、日本企業によるサプライチェーン見直しの動きが加速し、自動車などをはじめ幅広い業種で最終消費地・米国での生産に切り替える動きが強まり、日本経済の空洞化につながりかねないと指摘している。 

 米中間の貿易を巡る綱引きが、次第に覇権争いの色彩を濃くする中で、日本企業の経営者には多角的な判断が求められている。

 

 (中川泉 編集:田巻一彦)