写真・図版 6月13日、米小売企業にとって、今年前半は好調な期間となるはずだった。2018年、ジョージア州の米ウォルマート店舗で撮影(2019年 ロイター/Nandita Bose)

[PR]

 Aishwarya Venugopal and Nivedita Balu

 [13日 ロイター] - 米小売企業にとって、今年前半は好調な期間となるはずだった。国内の消費者心理は底堅く、多くの企業がその将来性に着目する中国で市場が拡大しているからだ。

 しかしトランプ米大統領が先月、中国からの輸入品の一部に追加関税を課した上、米中貿易摩擦がさらに激化するとの懸念もあり、多くの投資家は米小売りセクターから資金を引き揚げている。

 米中間の緊張は2年以上前から小売市場の潜在的なリスクだった。しかし直近の決算発表時に多くの投資家を不安にさせたのは、小売企業が関税の影響が出始めていることを認めつつ、影響緩和の方策をほとんど示せなかったことだ。

 家電量販のベスト・バイ<BBY.N>と小売りチェーン大手ウォルマート・ストアーズ<WMT.N>は、追加関税によって米国の小売価格に上昇圧力がかかると警告。百貨店のメーシーズ<M.N>とJCペニー<JCP.N>は、関税が衣料や靴に広がれば業績に悪影響が及ぶとの見通しを示した。

 百貨店のコールズ<KSS.N>は、利益見通し引き下げの一因に貿易摩擦を挙げ、事態は「流動的」だとした。

 高級小売りブランドの多くは、先進国市場の拡大が頭打ちとなり、中国での販売拡大に望みをかけている。中国は今や世界最大の高級品市場だ。

 衣料小売りのラルフ・ローレン<RL.N>は地元電子商取引企業などと組んで中国に多額の投資を行っており、5年以内に同国の年間売上高を5億ドルに増やす目標を掲げている。アジア全体の売上高は過去2年間で18%増えて10億ドルを超えた。

 しかし中国は昨年、成長率が約30年ぶりの低水準に減速し、4月の経済指標を見ると小売売上高が驚くほど弱まっている。ボストン・コンサルティング・グループによると、この影響で世界全体の高級品市場の伸び率は2%ポイント程度減速して年6─8%となった。

 <中国本土へ回帰> 

 さらなる減速の兆しが出るたびに、投資家は神経を尖らせている。

 仏高級ブランド大手LVMH<LVMH.PA>の株価は昨年10月、中国の増収率が10%台後半から15%程度に減速したとの発表を嫌気して7%以上も急落。つられてグッチの親会社ケリング<PRTP.PA>やエルメス・インターナショナル<HRMS.PA>、バーバリー・グループ<BRBY.L>も下落した。

 株価はその後回復し、トップブランドは中国本土での回復ぶりを強調している。LVMH傘下のルイ・ヴィトンは先週、ハンドバッグの需要が未だに「前代未聞」の水準だと説明した。

 しかし中国人買い物客は徐々に、パリやニューヨークといった海外都市よりも国内での購入に軸足を移しつつある。輸入関税の引き下げなど、中国政府による国内消費テコ入れ策の効果だ。

 この結果、米宝飾品大手ティファニー<TIF.N>などのブランドは、中国人旅行客による米国内での支出が落ち込み、売り上げが打撃を被った。

 <関税に耐えられる企業>

 年初から5月初めまで、S&P総合500種株価指数を構成する小売株は23%上昇し、上昇率が同指数の17.5%を超えていた。

 しかし5月5日にトランプ氏が追加関税計画を発表して以来、小売株の上昇率はS&P500種指数を約2%下回っている。リフィニティブのデータを用いたリッパーの推計によると、5月には上場投資信託(ETF)のSPDR・SP小売りETF<XRT.N>から1億6240万ドルが流出した。

 追加関税によって最も大きな打撃を受けているのは、中国市場の将来性を当て込んで同国に投資資金を注ぎ込んだ企業だ。

 対称的に、規模の大きいターゲット<TGT.N>やウォルマートなど一握りの小売企業は、関税によるコスト上昇を納入企業に吸収させることが可能だ。両社とも、主な納入元である中国への依存を減らし、他国へのシフトを進めている。

 米投資助言会社クオ・バディス・キャピタルのジョン・ゾリディス社長は「業績が堅調で、関税の影響を和らげられる可能性をうかがわせる企業は報いられている一方、的を外した企業は泣き面に蜂だ」と語った。