写真・図版 6月21日、資産運用世界最大手の米ブラックロック(運用資産65億ドル)は、ビッグデータを活用してライバルに差を付けようと、これまでにインターネットや衛星、アルゴリズムなどの活用を図ってきたが、今度は資金運用担当者の健康状態の常時把握に乗り出した。写真はニューヨークで2018年7月撮影(2019年 ロイター/Lucas Jackson)

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 Virginia Furness

 [ロンドン 21日 ロイター] - 資産運用世界最大手の米ブラックロック<BLK.N>(運用資産65億ドル)は、ビッグデータを活用してライバルに差を付けようと、これまでにインターネットや衛星、アルゴリズムなどの活用を図ってきたが、今度は資金運用担当者の健康状態の常時把握に乗り出した。体が健康で精神的に落ち着いた運用担当者はより良い投資判断を下すとの考えに基づくプロジェクトだ。

 試験的に導入されたのはフィンランドのオーラ社製指輪型ウェアラブル機器「スマートリング」。事情に詳しい関係者3人によると、睡眠パターンや心拍数などのデータを収集するもので、欧州株チームの運用担当者の一部が装着している。装着するかどうかは本人の判断に任され、いつでも外すことができるという。

 関係者の1人によると、スマートリングは睡眠時間や、投資判断をした場合のストレスの高まり具合を示す心拍数を測ることができる。

 関係者によると、プロジェクトを率いているのはブラックロックの行動ファイナンス計画の責任者を務める心理学者で、ストレスや睡眠パターンなどの管理で運用担当者を支援するのが狙い。

 運用担当者はプロジェクトへの参加に当たり、行動ファイナンスチームへのデータ提出に同意しているが、データは蓄積および匿名化された形でより広く共有される可能性がある。

 関係筋は「個々人が自分のデータを管理して保有し、だれが閲覧したかが分かる。問題は単なる運用成績やリスク管理ではなく、自分の健康だ」と述べた。

 関係筋によると、スマートリングが導入されたのは1月で、現在は最大10人の運用担当者が装着している。試験運用が成功すれば本格的に導入されるという。

 運用担当者は規制強化や手数料引き下げにより競争面で厳しい圧力にさらされ、資産運用業界はかつてない変化に見舞われている。

 今回のプロジェクトは、売買を最小限に抑える指数連動型パッシブ運用の人気が高まっても、最大手のブラックロックが人材能力を最大限に引き上げるために投資を続けていることを示している。

 ブラックロックは、プロジェクトは健康促進が最大の理由と説明しているが、従業員の個人データが収集されることを歓迎しない向きもありそうだ。既に成績がことごとく監視されている資産運用業界ではなおさらだろう。

 スマートリングの導入で運用担当者の投資判断が改善するかどうかは今後見極める必要があり、関係者によると結果はまだ出ていないという。