写真・図版8月13日、トランプ米大統領(写真)が仲介したスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化が実現したことで、同氏は11月の米大統領選前にようやく外交面での成果を収めることができた。ホワイトハウスで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)

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 [ワシントン 13日 ロイター] - トランプ米大統領が仲介したイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化が13日に実現したことで、同氏は11月の米大統領選前にようやく外交面での成果を収めることができた。

 トランプ氏は、イスラエルのネタ二ヤフ首相、UAEアブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド皇太子との電話会談で合意に漕ぎつけた直後、「大々的な打開」に達したとツイート。記者団に対し、中東でこうした合意に向けた準備が他にも進行中だと説明した。

 「だれもがこんなことは不可能だと言った」とトランプ氏は胸を張った。

 新型コロナウイルス危機への対応に苦慮し、大統領選で民主党候補となるバイデン前副大統領に世論調査でリードを許すトランプ氏にとって、世界的な大政治家の役割を演じることは悲願だった。

 トランプ氏が取り組む重要な中東問題の2つは昨年、雲散霧消した。今回の国交正常化は、その両方に影響する可能性を秘めている。

 1つはイスラエルとパレスチナの「世紀の合意」だが、トランプ氏は交渉を進められず、1月に提案したイスラエルに有利な和平案は、大した進展がみられない。

 またトランプ氏は、国際的なイラン核合意から離脱して「最大限の圧力」をかけたにもかかわらず、イランから譲歩を引き出せていない。

 中東における強力な米同盟国のサウジアラビアと同じく、イスラエルとUAEはイランを重要な敵と見なしており、イランへの敵対姿勢で結束を強めそうだ。

 米国務省でイランを担当するブライアン・フック特別代表は国交正常化合意について、イランの対イスラエル戦略にとって「悪夢」だと述べた。

 ネタニヤフ政権によるヨルダン川西岸併合計画は、米国の和平計画を不可能にするものとの見方が多く、米政権にとって不快な動きだった。

 米国のデービッド・フリードマン駐イスラエル大使は、イスラエルがいつまで併合計画を棚上げするかと記者団に問われ、それは不明だが、米政府は中東地域の他の国々にもイスラエルとの合意のチャンスを与えたい、と述べた。

 フリードマン氏は、米政府はこれまで和平を優先してきただけであり、併合問題は「議題から消えていない」と説明した。

 <他の合意も進展中か>

 ホワイトハウス高官らによると、今回の合意にはトランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問やフリードマン氏、中東和平を担当するアビ・バーコウィッツ氏らが深く関わった。

 クシュナー氏は記者会見でトランプ氏同様、中東の他の国々もイスラエルとの間で同様の合意を結ぶ可能性があると説明した。

 バイデン前副大統領は今回の合意発表を「喜ばしい」と評価。自身が副大統領時代にイスラエル、UAE双方の首脳と時間を費やしたことが、協力姿勢の土台になったとの見方を示した。

 バイデン氏は「憎悪と相違は、たとえ長年続いたものであっても不変不朽ではないこと、そして米国外交が果たせる役割を、タイミングよく想起させてくれた」と述べた。

 

 (Steve Holland記者)