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焦点:銀行は流動性規制案緩和でも自己資本積み増し避けられず

:1月7日、銀行の新自己資本規制「バーゼルIII」の流動性に関する規制案をめぐる当局と銀行の戦いは、銀行側が規制案の緩和を勝ち取った。2011年1月撮影(2013年 ロイター/Kacper Pempel)1月7日、銀行の新自己資本規制「バーゼルIII」の流動性に関する規制案をめぐる当局と銀行の戦いは、銀行側が規制案の緩和を勝ち取った。2011年1月撮影(2013年 ロイター/Kacper Pempel)

 [ロンドン/ワシントン 7日 ロイター] 銀行の新自己資本規制「バーゼルIII」の流動性に関する規制案をめぐる当局と銀行の戦いは、銀行側が規制案の緩和を勝ち取った。しかし銀行はそれでもなお、危機時に資金流出が起きないようにするために多額の資本を確保する必要に迫られそうだ。

 銀行は過去2年間にわたる熱心なロビー活動で時間を稼いだが、2015年から世界的に新たな資金バッファーを大量に積み上げるという義務から解放されたわけではない。

 バーゼル銀行監督委員会が流動性規則案の緩和に合意したことを批判する声はあるものの、改革の他の主要部分は健在で、厳格な規制を新たに導入するとした世界的な公約が破棄されたとは言い難い。

 2010年の米金融規制改革法の共同起草者であるバーニー・フランク元議員は「段階的な導入だ。自己資本基準の否定ではなく漸進的実施と捉えるのが妥当だ」と話した。

 バーゼル委は6日に規制案の見直しを公表し、銀行を驚かせた。銀行や一部規制当局は、バーゼル委の当初案は厳し過ぎて、景気てこ入れのための融資が必要なときに銀行に現金を滞留させると批判していた。

 見直し案では流動性バッファー規制は15年から4年間かけて導入し、バッファーとして認める資産の種類も拡大した。

 一方で銀行は流動性バッファーに住宅ローン担保証券や株式などリスクの高い資産を組み入れる方法を選んだ場合、より多くの自己資本確保を義務付けられる。

 法律事務所モリソン・フォースターのパートナー、ドワイト・スミス氏も、銀行は流動性を確認するために一定期間ごとに資産を売却する必要があり、流動性バッファーに質の劣る資産をどの程度組み込んだかに応じて他の規制を課されると指摘。「突然すべてが解禁になったというわけではない」と話す。

 米国の銀行の多くは既にかなりの流動性準備を保有しており、今回の修正は欧州の銀行にとってより大きな意味を持つ。

 規制当局の経験者からは、当初案は銀行に対する公的支援が批判を浴びていた時期に作成されており、見直しは当然との声もある。また政策担当者は急速な景気回復を期待しており、ユーロ圏債務危機の悪化は望んではいない。

 英金融サービス機構(FSA)などに籍を置いたデービッド・グリーン氏は「原案は金融危機直後にまとめられており、こういうときは当局が規制を厳しくし過ぎてしまう恐れがある」と指摘。ソブリン債務に関連するリスクなど状況に変化が起きているのだから、見直さなければまずいと述べた。

 一方、米預金保険公社(FDIC)の総裁を務めたシーラ・ベアー氏は「当初合意の規則が非常にうまく機能はしているわけではないが、見直しは改善ではなく改悪だ。バーゼル委はいつもそうだが、複雑すぎる」と批判した。

 <金融規制改革は死なず>

 バーゼルIIIで銀行は金融危機前の最大3倍の自己資本を積むよう義務付けられる。20カ国・地域(G20)は今月をバーゼルIII実施の期限としているが、目標を達成したのは11カ国・地域にとどまり、米国と欧州連合(EU)は先送りを決めた。

 EUでは10日にバーゼルIIIの実施に係る法律についての協議が再開するが、議員の一部はバーゼル銀行監督委が行った以上の規制内容の緩和を求めている。またG20の規制当局はデリバティブ市場の改革についても実施時期の延期を余儀なくされている。国境をまたいで事業展開する大手金融機関の破綻処理に関する制度も確立していない。

 しかし規制強化の後退を迫る最近な動きを批判する向きですら、金融規制改革が死滅するとはみていない。ベアー氏は「自己資本規則に関する取り組みは強まったと思う。流動性規則の効果をめぐっては常に異論があるが、バーゼルIIIで自己資本規則は改善している。取り組みは正しく、実施は必要でうまく行くとの信頼が高まっている」と述べた。

 専門家の中には、投資家の信頼感が高まることは大手銀行にとってプラスとの指摘もある。EUの規制についてアドバイスしているグラハム・ビショップ氏は「銀行は規制当局の基準よりも自己資本が強固だと宣伝したがるだろう。それができない銀行は弱い部類とみなされる」と強調した。

 (Huw Jones、Douwe Miedema、Emily Stephenson記者)

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