今回は、この6カ月間で好成績をあげたファンド(投資信託)を紹介します。基準価格(分配金の再投資後)の上昇率で上位20本を選び、分析しました。
まず世界の株式市場の動きを確認しましょう。9月末までの6カ月間は、日本と欧州の一部でこそ苦戦を強いられましたが、米国と東南アジアは好調を維持しました。また、米国の金融緩和政策の長期化観測が浮上したことで、金先物を中心とした商品市場に投資資金が流れ込み、相場全体を押し上げました。世界的な需要の減退で原油価格には一服感が出ましたが、金はインフレの影響を受けにくい資産としても根強い人気を集めています。
この結果、「野村エマージング債券投信(金コース)」が8月の501位から大幅に順位を上げ、首位に立ちました。同ファンドは新興国の債券に投資する通貨選択型で、為替ヘッジを行う代わりに、米ドルベースの金の投資収益を享受する仕組みがとられています。8、10位につけた円コースと同じシリーズの投信として販売されていますが、金コースの上昇率が突出して高かったのは、金価格上昇の恩恵を受けることができたためです。
また、同じ商品先物でも上値が重かった原油は、ショートポジション、すなわち原油先物の空売りを行う「WTI原油先物ファンド(ショート・ポジション)」が6位につけています。一般的に金融資産は買い持ち(ロングポジション)することで価格上昇の恩恵を受けますが、空売りすると資産価格が下落した時に利益を上げることができます。原油先物のショートポジションをとる同ファンドは、日々の基準価格の値動きがWTI原油先物取引価格の値動きと反対になるため、原油価格が伸び悩んだ中でも好成績を収めることができました。
そのほか、今月は通貨選択型を含め、日本円でヘッジするファンドが存在感を示しました。上位20位以内にランクインした計8本の通貨選択型のうち、1位以外の7本は全て円コースだったほか、3、5、11、13、15、19、20位の各ファンドにも対円のヘッジ機能が付いています。
この6カ月間で見ると、日本円は主要通貨に対して軒並み上昇しています。このため、円ヘッジ機能の付いたファンドほど円高進行による基準価格低下の影響を回避でき、投資対象資産の値上がり益だけを享受することができました。(リッパー・篠田尚子)
(トムソン・ロイター)http://www.reuters.co.jp
| 順位 | 8月の順位 | 騰落 | ファンド名 | 投信会社 | 上昇率(%) | 資産タイプ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 501 | ↑ | 野村エマージング債券投信(金コース)毎月分配型★ | T&D | 16.32 | 債券 |
| 2 | 3 | ↑ | ワールド・リート・セレクション(アジア) | 岡三 | 16.28 | 不動産 |
| 3 | 2 | ↓ | ワールド・ゲノムテクノロジー・オープンAコース | 野村 | 16.11 | 株式 |
| 4 | 4 | → | ワールド・ゲノムテクノロジー・オープンBコース | 野村 | 9.66 | 株式 |
| 5 | − | 新 | 野村インデックスファンド・新興国債券・為替ヘッジ型 | 野村 | 9.24 | 債券 |
| 6 | 6 | → | WTI原油先物ファンド(ショート・ポジション) | ITCIP | 9.10 | その他 |
| 7 | 16 | ↑ | オーストラリア・リート・オープン(毎月決算型) | 三菱UFJ | 8.97 | 不動産 |
| 8 | 20 | ↑ | 野村エマージング債券投信(円コース)毎月分配型★ | T&D | 8.87 | 債券 |
| 9 | 12 | ↑ | 野村新エマージング債券投信(通貨選択型)円コース(毎月分配型)★ | 野村 | 8.59 | 債券 |
| 10 | − | 新 | 野村エマージング債券投信(円コース)年2回決算型★ | T&D | 8.57 | 債券 |
| 11 | 13 | ↑ | 野村新興国債券投信Aコース(毎月分配型) | 野村 | 8.49 | 債券 |
| 12 | 14 | ↑ | 野村新エマージング債券投信(通貨選択型)円コース(年2回決算型)★ | 野村 | 8.47 | 債券 |
| 13 | 18 | ↑ | エマージング・ソブリン・オープン(毎月決算型)為替ヘッジあり | 国際 | 8.21 | 債券 |
| 14 | 25 | ↑ | DWS通貨選択型エマージング・ソブリン・ボンド・ファンド円コース(毎月分配型)★ | ドイチェ | 7.61 | 債券 |
| 15 | 10 | ↓ | BNYメロン・新興国ソブリン・ファンド(円ヘッジ) | BNYメロン | 7.57 | 債券 |
| 16 | 49 | ↑ | 三菱UFJ Jリートオープン(3ヵ月決算型) | 三菱UFJ | 7.45 | 不動産 |
| 17 | 21 | ↑ | 野村アジアハイ・イールド債券投信(通貨選択型)円コース(毎月分配型)★ | 野村 | 7.20 | 債券 |
| 18 | 22 | ↑ | 野村アジアハイ・イールド債券投信(通貨選択型)円コース(年2回決算型)★ | 野村 | 7.20 | 債券 |
| 19 | 26 | ↑ | PIMCOニューワールド円インカムファンド | 三菱UFJ | 7.16 | 債券 |
| 20 | 24 | ↑ | ピムコ・エマージング・ボンド・オープンBコース(為替ヘッジあり) | 三菱UFJ | 7.15 | 債券 |
オープン投信の基準価格上昇率ランキング(9月末時点)で、残高10億円以上の1781本が調査対象。上場投信と確定拠出年金・ラップ口座向け専用ファンド、デリバティブ型を除く。★は通貨選択型。上昇率は小数第3位を四捨五入(リッパー調べ)