保有する投資信託が値下がりしたり、運用成績に不満だったりしたら、どうしますか? 今回から、手元に余裕資金がある中級レベルの個人投資家向けにそうした時の対応策や注意点を解説します。
まず、投信の特徴を再確認します。投信は価格変動を伴う有価証券に投資する金融商品で、投資元本は保証されません。銀行で購入した投信でもペイオフ(銀行が破綻(はたん)した時、預金者1人につき元本1千万円とその利息までが保護される制度)の対象ではなく、自己責任による投資判断が原則となっています。
とはいえ運用のプロでも時には投資判断に迷いが出るものです。いくつかの金融商品に分散投資しているような中級レベルの個人投資家でも、含み損を抱えると冷静に判断しにくくなるようです。
日本の投信には海外資産に投資するタイプも多く、2008年のリーマン・ショック、そして欧州債務危機に振り回され、ここ数年、基準価格の乱高下に見舞われました。保有する投信が値下がりを続けていたら、まず自問自答していただきたいことがあります。
「保有する投信が今後、値上がりするだろうか?」
ここで冷静に「はい」と即答できる場合は、同じ投信を追加購入して平均買い付け単価を下げましょう。
基準価格が1万円の時に購入し、いま5千円に値下がりしていれば、前回と同じ口数を買い増すと、平均買い付け単価は7500円に下がります。基準価格が7500円に上がれば、投資元本を取り戻せます。そのまま放置すると、1万円まで回復するのを待たなくてはなりません。
反対に「いいえ」の場合は、思い切って解約に踏み切り、損失を確定させる覚悟が必要です。随分と極端な選択肢だと思われるかもしれませんが、実は厄介なのが「いずれは上がる」と根拠なく信じ込むことと、損した分を別の投信で取り戻そうと躍起になってしまうことなのです。
特に最近は、人気が高い通貨選択型など高分配投信を買い、毎月の分配金を受け取ることで、値下がりした投信の損失分を取り戻せると考える投資家が多いようです。投信の分配金は支払いが確約されているものではありません。さらに高分配投信の中には、投資元本を取り崩して分配金を捻出しているケースもあります。
投信の追加購入でも解約でも、最終的には自己責任による投資判断が求められますが、助言を受けることは可能です。一般的なのは、銀行や証券会社など投信販売会社の相談窓口です。また、金融機関に所属しないファイナンシャルプランナー(FP)に相談することもできます。金融機関では投信の購入者が負担する販売手数料が、実質的な相談料ともなるため原則として無料ですが、FPでは有料のケースがほとんどです。販売会社などとは違う中立的な立場から助言が欲しい時はFPへの相談を検討するのも良いでしょう。(リッパー・篠田尚子)