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 金融庁は6月29日、投資信託販売の実態を「見える化」するため、新たな情報公開を販売会社に求めました。金融庁が進める投信改革の一環で、各社が顧客本位の業務運営を行っているかどうかが、わかるような指標です。

 政府は「貯蓄から投資へ」をスローガンに、国民の資産形成を促しています。しかし、現預金は家計の金融資産の50%台で高止まりし、投資はなかなか進みません。金融庁はこのような状況を打開するため、投信について「買う側」と「売る側」で改革を並行して進めてきました。

買う側と売る側の改革

 買う側の改革の代表が、1月にスタートした「つみたてNISA」です。投資対象は金融庁の要件を満たす低コストの投信に限られ、毎月分配型や販売手数料のあるものは外されました。

 買う側の個人は、売る側の金融機関と違って専門家ではないので、投信についてのリテラシー(知識や技能)が低いのが普通です。それなのに、「投資は自己責任」と突き放していては、国民の資産形成は進みません。そこで、投資対象の投信を金融庁が事実上選ぶという、政策の大転換を図ったのです。

 売る側では、金融庁は昨年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を作りました。顧客本位の業務運営について、金融機関に方針の策定とその取組状況の定期的な公表を求めています。

一目でわかる販売姿勢

 今回の情報公開要求は、こうした改革の一環です。金融庁が要求したのは、各販売会社がどのような投信を売っているのか、一目でわかる指標。「顧客の損益状況」「コストとリターン」「リスクとリターン」の三つです。

 情報公開のイメージを図示してみました=グラフ。

 ここでは業界全体の数字を使っていますが、実際には、個々の販売会社が販売した投信について情報公開されます。それによって、自社の収入増だけのために投信を売っているかどうかなど、各社の販売姿勢がわかります。

 日本では、投信が金融機関の手数料稼ぎの道具になっています。このような状況がいつまでも続いては、国民の資産形成が進まず、経済成長の妨げにもなるという強い危機感が、金融庁の動きの背景にあるといえるでしょう。

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 「日本人の投信リテラシー」の8回目は8月18日付です。

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 担当=DZHフィナンシャルリサーチ・野口文高
 トムソン・ロイター提供のリッパー投資信託情報から

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 このコラムはトムソン・ロイターが提供するリッパー投資信託情報を基に、DZHフィナンシャルリサーチが担当しています

トムソン・ロイターhttp://jp.reuters.com/